気迫が希薄だから

景気を下支えする為に、中国人民銀行が預金準備率を0.5%引下げましたね。 従来ならば、このような緩和政策は市場に好感されて株価や商品の相場を押し上げていたのですが、今回は少し様子が違うのかもしれません。 この様な施策は、中国の経済が下降し始めている事の証左であると、本質的な問題の構造に目を向ける人々が増えてきたのであれば、好ましい傾向だと思うのです。



World edges closer to deflationary slump as money contracts in China
中国における資金供給が縮小し、世界はデフレ不況の縁へ近付いている。


中国のマネーサプライに関する全ての主要な指標が警告サインを点滅させている。 広範な対策は、1990年代後半以来の停滞レベルへ落ち込んでいる。

揚子江造船所
If China were a normal country, it would be hurtling into a brick wall. A "hard-landing" later this year would already be baked into the pie.

縮小した4月のM1データは、現在の記録を取り始めて以来最も弱いものとなった。 実際のM1預金 - 6ヶ月程度先行する経済成長の先行指標 - は、11月以降縮小している。

サイモン・ワード・ヘンダーソン・グローバル・インベスターズによると、それらは 2008−2009年の金融危機の期間におけるどの時期よりも速く縮小しており、現在のスペインよりも速いのだ。

もしも中国が普通の国だったならば、彼等はレンガ作りの壁に衝突するであろう。 今年後半の「ハードランディング」は、既に市場に織り込まれている。

この複合的な市場システムによるレーニン主義 - 党の首脳達によって銀行が経営されている - が西欧の通貨理論に整合するか否かは、熱く議論されている点である。 この問題は、一方向か他の形で直に落ち着く事となる。

はっきりしていそうなのは、中国の経済が期待されていた様に第1四半期で底を打った訳では無いという事である。 それは現実的なトラブルを弄(もてあそ)んでいるのだ。 酷いデータの猛吹雪が「大声で緩和を求めている」と、ソシエテ・ジェネラルのヤオ・ウェイは語った。

中国の電力生産量 - 弱気派達が宗教的な想いで監視している - は4月に落ち込んだ。 前年比で 0.7%増えただけである。 最近の数ヶ月間に下方向へぐらついていた国全体の鉄道投資は、44%低下した。 高速道路建設は2.7%落ち込んだ。 「データは、中国経済の極端な弱さを示しています」と、北京にあるIHSグローバル・インサイトのアリスター・ソーントンは語った。

揚子江の造船所が、この事を物語っている。 同国における10社の最大手建設業者の内8社は、今年に入って1件も新規注文を獲得していないと、開新マガジンが述べている。 「造船産業における閉鎖の波は未だ始まっていません。 ハリケーンが近付いているのです。」と、ある当局者が語った。

規制当局の熱意の証明として、住宅販売は第1四半期に25%落ち込んだ。 これは、新たなビル建設への資金供給が劇的に低下した事による。 建築中の床面積は4月に28.3%低下したと、ソーントン氏は語った。

これは二次的な問題では無い。 この産業部門は中国の労働力の10%を雇用しており、更に20%を間接的に雇用しているのだ。 土地販売は地方政府の税収の70%を、中央政府の税収の30%を提供している。 我々がアイルランドで見てきた様に、それは「好天に恵まれた」状況下での融資の幻影なのだ。 不動産市場が長期的な停滞へ向かうのであれば、中国政府の財政刺激策の範囲が制約されるかもしれない。

計画されていた事なので、不動産市場の調整は好ましいものである様に思われる。 社会福祉政策として(不動産の)価格を下げたいと温家宝首相は願っている。 FRBでさえ、資産ブームを制限すべく1928年に急ブレーキを踏む事が無かっただろうか?。  ブームの破裂によるデフレが手に負えない勢いを持つと気付かせる事になるだけだったが、日本銀行は1990年に同様の措置を講じなかっただろうか?。 5年間で与信総量がGDPの100%も増えてしまったら - 米国や日本の事例よりも激しく中国が実践した - 、強い力の為すがままとなってしまうのだ。

奇妙な事が現在起きている。 新規融資は3月の$1600億(£995億)から4月には$1080億へ低下したと人民銀行が述べた。 非伝統的な融資も全て停止した。 信用貸しは96%低下し、銀行引受け手形は90%低下した。 これは驚異的なデータだ。

北京政府にとって、蛇口を再度開く事は容易で無いかもしれない。 融資に対する需要は何ヶ月間も低下し続けている。 銀行は与信枠を申し出ているが、企業はそれに応じる事を拒否している。 これは、嘗て日本が効果の無い事(pushing on a string:糸を押す行為)を行ったという話、又は欧州で現在進行している物語と同じである。

「中国はデフレに入っている」と、ロンバード・ストリート・リサーチのチャールズ・デュマスは言う。 そう、消費者物価指数は3.4% - 低下しつつあるものの -であるが、消費はGDPの1/3でしかない。 設備投資は46%であり、価格は過去6ヶ月間に3.5%低下した。 輸出品価格は6.6%低下した。

当局が遅ればせながら対応し、この週末に銀行の準備金比率を50ポイント引下げて20%とした。 これは薄い粥の様なものである。 人民銀行がシュンペーター主義者達の追放というカタルシス(浄化)における過剰な受容力を制限しようと決意したのか、若しくは権力闘争が党を麻痺状態にしたのかと、我々は結論付け様としているのだろうか?。 説明する事は困難である。

全てのBRICs諸国を注視する必要がある。 インドの工業生産は3月に3.5%低下した。 同国は、1970年代のスタグフレーションの轍を踏んでいる様に見える。 3月に自動車販売が15%低下し、工業生産が縮小しているブラジルも同様に軟化した。 銀行の不良債権はリーマン直後よりも高い10.3%に達した。

恐らくバブルは既に弾けているが、リオのホテル経営者達は踏ん張っている。 宿泊料金が法外であった為、6月に開催される国連の「持続可能な開発に関するフォーラム」への参加を欧州議会は取り止めた。 「我々は、過剰に吹聴され、過剰に保有されてきたBRICSs(関連の資産)をショート(売りポジションに)している。」と、逆張りヘッジファンドのヒュー・ヘンドリーは述べている。

私が常に恐れるのは、旧世界が安全に回復する以前に台頭する世界の信用サイクルが自ら破裂するか、流行の表現を使えば「脱出速度」に達したのではないかという事だ。

既に手遅れであろうが、最後の貸し手として自ら装備し、欧州通貨同盟各国のデフォルト・リスクをテーブル上から取り除くまで、欧州は益々1930年代の自己破壊的な状況へと向かうであろう。 米国には、少なくとも機能している金融機関が存在するものの、成長はかろうじて停止速度を上回っている状態である。 ベン・バーナンキの「巨額の財政的断崖」がこの秋に待ち受けている。 経済循環研究所(ECRI)は未だ米国の景気後退予測を取り下げていない。

BRICsは 2008-2009年に我々を救援してくれた。 もし今、我々が全ての面で世界的な危機に直面したら - そして、尚もその様な事態を避ける事ができるのであれば - それは世界中の指導者達の決断力を試す事となる。 既にG10諸国における金利は殆どゼロであり、予算は驚く程膨らんでいる。

何が起きようとしているのかを感じながら、世界中の中央銀行は未だ彼等の武器を使い果たしていないと、シティグループのチーフ・エコノミストであるウィレム・ビュイターは述べている。 彼等は量的緩和(QE)を始める事が可能だし、そう「すべき」であり、太陽の下で何でも購入し、「ヘリコプターからのマネーの投下」を行うべきであると。

私は、もっと先を考えたい。 通貨の仕組みの量的考察に関する古典的なホートリー・カッセルの理論に従い、各国の中央銀行は、名目GDPが成長軌道に回復するまで銀行システムの外側にある資産を大量購入する事で、如何なる景気後退も打ち負かす手段を持っているのだ。

問題は科学的でない。 もしも指導者達が十分な気迫を持って行動するならば、世界的な不況は回避可能である。 邪魔をするのは、ユーロの塔が依然としてハイエク主義者達に悩まされている事と、G10の国民 - そして、私の苦い経験上ではテレグラフの読者達 - が、その様な考えをワイマール的な不節制である、又は全くの悪魔崇拝だと見ている事なのだ。 経済政策立案者達にとって、今日(こんにち)では1932年当時よりも簡単にこれ以上の金融刺激策への民主的な同意を取り付ける事が不可能なのである。

2012-2013年の寒い冬の中でも、ヘリコプターからの投下が必要にはならないと祈る事だけは可能である。



ホートリー、カッセル、ハイエクと、経済学又は経済史を学んだ方々にとっては馴染みのある名前なのでしょうが、私の様な畑違いの者にとっては、逐一各人が主張した理論(の概要)を確認しないと、E-Pritchard の含蓄を読み取る事ができないのですよ。 この様な作業は結構面倒なのですが、自らの知識を広げる事にもなるので手間を惜しまぬ様に心掛けるのです。



次回に続く...



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おっと、気をつけて!

ギリシャにおける連立政権協議は難航している様です。 スペインにおいては、政府が脆弱な銀行に対して資本増強を要請しています。 いよいよ雲行きが怪しくなりつつ情勢下では、当局者達も薄氷を踏む思いでいるのでしょう。

慎重な対処が求められる状況での不注意は、思わぬ惨事を招くかもしれないのです。



Apocalypse now? German drops Mayan magical skull owned by Himmler... and it could mark the end of the world on 21-12-12
現在は世界の終りか?。 ドイツ人が、ヒムラーの所有していたマヤの魔法の頭蓋骨を落とした...それは21-12-12 に世界の終りを告げるのかもしれない。


もしも世界が12月21日に終わるのであれば、嘗てナチス親衛隊(SS)の大立者であるハインリッヒ・ヒムラーが所有していた、火山岩でできた頭蓋骨を研究所内で今週落としてしまった不器用なドイツ人を非難してくれ。

伝説によると、人類に終末を生き延びさせるべく信仰者達が魔法の力を吹き込んだという、ナチスによってチベットから盗まれた頭蓋骨が、写真撮影中に落下して砕け散ったのだ。

ある者達にとって、これは世界の終りを予告する大惨事であるが、それ以外の人々は、冷静さを保って生きて行く様にと我々に助言している。

Mayan Pyramid
Apocalypse soon: For some, ancient Mayan calculations indicate the world will end on December 21, 2012

「それは恐らく、ぐらぐらする様な場所に置かれたのでしょう。」と、ある目撃者がドイツ紙に語った。

多くの人々は終りが近いと確信している
2012年12月21日を指す古代マヤ暦を世界の終りとする幾つかの解釈。

チチェン・イッツァにあるククルカンのピラミッド(上の写真)の様な観光スポットを見る為に、マヤの遺跡を豊富に擁する五つの州を今年は5千2百万人の旅行者が訪れるとメキシコの観光庁は期待している。

他の学者達は、聖書やノストラダムスの予言の中に2012年の終末の証拠を発見した。

フランス南部にあるビュガラッシュの村は、カルト集団や怪しいスピリチュアル系の活動を注視すべく政府側監視者の関心を集めている。

ビュガラッシュ - そして岩が露出した Pic de Bugarach(山) - には、そこが終末を生き延びる世界で唯一の場所と信じるニュー・エイジ系の訪問者達が流入した。

「突然、それが床に落下して壊れたのです。 大きな部品が顎(あご)から取れてしまいました。 それは本当に悲劇ですよ。」

それは、ゲシュタポ及びSSを率い、6百万人のユダヤ人を殺害した絶滅計画の実行者であるヒムラーの逮捕に、1945年に立ち会った元英国軍人の家族から貰ったものであると、所有者である歴史学者のトーマス・リッターは述べた。

その事故が「神の怒り」では無く、世界は12月22日になっても依然として存在する事を信じる、と彼は付け加えた。

その頭蓋骨は1000年前のもので、メキシコの失われた古代民族が所有し、魔法の力を吹き込まれたと言われている、伝説のマヤの頭蓋骨の一つである。

リッターによると、その3ポンド(の重さ)の頭蓋骨は火山岩でできており、失われたシャングリ・ラの都市を探す為に1937年から1939年の間にチベットへの遠征に送られたSSの男達によって押収されたものである。

リッターは語った:「その様な頭蓋骨は13個存在し、それらを所有する者は誰でも世界を征服する力を得るとナチスは確信していたのです。」

ヒムラーは1945年5月23日に、自らの命を絶つべく歯の間に隠した毒入りのカプセルを用いて死んだ。

Nazis Himmler
Previous owner: Heinrich Himmler, seen with his daughter Gudrun, once owned the Mayan rock skull

マヤ人達は13個の頭蓋骨を作ったが、その内の9個は着色されて人類を表し、4個はガラスの様に透明で「そっと歩き、這い、そして飛翔する獣」を表していた。

それらは、この惑星上に人類がもたらす大惨事を回避するのに全てが必要となる様な時まで、それぞれが「生まれた」場所へと送られたのだ。

天文学及び数学の才能を与えられたマヤ人達は、この「最後の日」の日付を計算した - 2012年12月21日の冬至である。



デイリー・メールには、上記以外にもマヤ関連の記事が掲載されていました。(The Mayans reveal their darkest mysteries: New excavation reveals secrets of their calendar - including black-clad figures and symbols never seen before) 時間的余裕があれば、こちらの記事の内容も確認しておきましょう。


Mayan Pyramid 2
私もチチェン・イッツァにある太陽のピラミッドを訪ねた事があるのです。 91段の階段は、容易に昇る事ができるものの、降りる際にはチョット恐怖心を抱かせてくれる程の傾斜を持っているのです。

2009年3月以降、株式/商品等の市場は主要国の中央銀行による前例の無い規模の緩和策で上昇し続けてきましたが、それが下降する際には恐怖心を抱く人々も少なくないと思うのです。


次回に続く...



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ほら吹き男爵

欧州では混迷の度を深めつつある様です。

先に実施された選挙の結果として、議会で安定多数を形成する連立政権の樹立が困難となっているギリシャでは、来月に再度選挙を実施する公算が高まっていると見られています。 急進左派連合シリッツァ躍進の原動力として厳しい緊縮策に反発するギリシャ国民は、二律背反する期待を抱いているのです。

A.トロイカが要求する緊縮策という救済資金融資の条件を緩和して欲しい。
B.ユーロから離脱したくない。

一方、ギリシャの混乱に対峙する欧州当局≒EU&ECB≒ドイツも、二律背反する行動をギリシャに要求しているのです。

A.厳しい緊縮策で財政赤字を減らせ。(=経済を縮小させる)
B.(構造改革で)経済を好転させ、貸した金をキチンと返済しろ。


同様にフランスでも、「緊縮 vs 成長」という二律背反する問題に焦点を当てたオランデ氏が先の選挙で国民の支持を得たのですが、更に、もっと甚だしい矛盾がスペインで生じつつあるのです。 スペインでも混乱が拡大しつつある状況は、最近の記事(「毒を食らわば」、「Banco de la liga española」)でも確認しました。 市場関係者達が国有化されると予測している同国第4位の銀行バンキアでは、建設/不動産関連融資の9割以上が不良債権化しているとも報道されています。 ECBが実施したLTROで資金を調達したスペインの銀行及びスペイン政府が滑稽な寸劇を演じ始めたのです。

A.(LTROで借りた資金で)スペインの銀行がスペイン国債を購入してスペイン政府を救済する。
B.(スペイン国債の価格下落により)スペインの銀行は更にバランスシートを毀損している。
C.経営状態が悪化したスペインの銀行をスペイン政府が救済する。



ほら吹き男爵 沼に落ちかけた馬と男爵
(福娘童話集より)


わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。

ある戦争に参加した時、わがはいは馬で沼を飛びこそうとした。
ところが飛びあがってから、その沼がばかに広い事に気がつき、あわてて空中で、
「まわれ右!」
と、自分で号令をかけて引き返した。
そして今度は、さっきよりも勢いをつけて、
「えいっ!」
と、空高く飛んだ。
ところが、それでも駄目だった。
普段なら、わがはいの馬術で簡単に飛べただろうが、この時、わがはいは着ていた甲冑(かっちゅう)の重さを計算に入れていなかったのだ。
ああ、なんたる不覚。
わがはいはそのまま、馬もろとも沼に落ちかかった。
しかもこの沼は、おそろしい底なし沼だ。
甲冑姿で落ちたら、絶対にはいあがる事は出来ない。
「えい、こうなれば!」
わがはいは馬の腹を両ひざにはさむと、自分で自分のえり首をぐっとつかみあげて、馬もろとも沼から引っ張りあげて命拾いをしたのだ。
自分で言うのもなんだが、わがはいの怪力は大したものだ。

今日の教訓は、『甲冑は、想像以上に重い』だ。
きみたちも甲冑を着る事があったら、甲冑の重さには十分注意するように。

では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。

おしまい



私個人の関心事とは別に、結局今回も欧州の状況を整理してしまったのです。


次回に続く...



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