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カナリア諸島で群発地震が急増

カナリア諸島で群発地震が増加しているという事が8月上旬に報告されていましたが、同地域における群発地震の回数は更に増えているようです。



El Hierro Earthquake Count Exceeds 4200
エル・イエロの地震発生回数が4200を越えた


カナリア諸島(スペイン)最小の島であるエル・イエロにおいて記録される毎日の地震の数は、この数日で大幅に増加した。 カナリア火山研究所は又、GPSによる解析結果としてこの島の火山の一部が1cm膨張した事を報告している。

国立地質学研究所(IGN)によると、過去5週間に記録された揺れの総数は4200回を越えた。

地面の揺れの多くはマグニチュード1から3の間である。 リヒター・スケールでマグニチュード3.5が測定されたものを含め、月曜日(8月22日)だけでも431回の地震が記録された。

カナリア群発地震回数

エル・イエロ群発地震

エル・イエロ群発地震推移
揺れの大半はエル・ゴルフォの278.5平方キロの島の北西で記録されており、この場所では約5万年前に高さ100メートルの津波を生み出した大規模な地滑りが起きている。

「地震活動の大幅な増加」と表わされる状況を受け、火山のリスクに対する市民保護及び緊急対応の特別計画に盛り込まれている運営委員会と火山監視の会議を7月22日に初めて召集するよう、この群発地震はカナリア諸島政府を促した。 低いマグニチュードの地震活動について議論する為、運営委員会は7月29日に再度開かれた。 地震の元を特定すべく、監視活動のレベルを引き上げたと同委員会は報告している。

エル・イエロにおける前例の無い地震活動が、将来起こり得る地震や火山の活動の増加の前兆であるか否かは、依然として不明である。 しかし、記録された地震の最近の急増と火山の膨張は、エル・イエロの下でマグマが上昇している事を示しているのかもしれない。

グローバル火山活動プログラムによると、イエロの楯状火山は、重力による崩壊の結果として形成された北西に面する断崖によって削り取られており、それは東側から見ることができる。 両側が切り立った高さ1500mの急斜面は12kmの幅を持つエル・ゴルフォ湾に接した溶岩質の低層部の上にそびえており、(島の)左端からのみ視界に入れる事が可能である。 完新世の山頂群と山裾は共に外周側面の上に形成され、エル・ゴルフォの窪んだ地形の中にある。 18世紀中に起きた最新の噴火は、エル・ゴルフォの北西側の噴石が体積してできた頂から流れ出る溶岩を生み出した。

エル・イエロ地図

群発地震は、局所的な地域で比較的短い期間中に連続する多くの地震の発生を観測する事象である。 群発地震の定義に用いられる期間というのは様々であるが、米国地質学研究所(USGS)は数日間、数週間、数ヶ月間続く事があると指摘している。

エル・イエロの火山/地震の過去

エル・イエロは、カナリア諸島の最も南西部の端に位置している。 島は3つの連続する噴火の後に形成された。 火山活動は、主に3つの尾根が集まる辺りで、島の連続的な拡大につながった。

僅か5万年前、大規模な地滑りを引き起こした地震の揺れにより島が割れ、巨大な土塊が海へ崩落して海底に撒き散らされた。 この300キロ立方メートル以上もの地滑りは印象深いエル・ゴルフォ渓谷のすり鉢状地形を生成し、同時に、恐らくアメリカ沿岸にまで到達する100メートル以上はあったであろう津波を引き起こした。



上記の記事を読んでいる途中で気付いたのですが、幾つかの箇所で以前の記事と同じ文が使用されているのです。 前回の報告との違いを端的に表現すると、「720から4200へ急増」という事なのです。 でも、この部分だけを強調してしまうと、「ウヒャー、遂にゴールドの価格がぁー!。」等と早合点してしまう人がいるかもしれないので、前回使用した文を再利用しつつ丁寧に報告してくれたのかもしれません。

次回に続く・・・




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宇宙線と気象の関係

新たな宰相の誕生に関し、近年の日本の政治体制が余りにも短い周期で変わると嘆く声が多い様に感じます。 一方、世界中を揺るがす様々な問題の発生周期も短くなっている現在、重要課題への対応能力を疑われた政府を簡単に入れ替えられるというのは、稀有な柔軟性であると解釈することができるのかもしれません。

しかし、近年の自然環境の変化に対しては、如何に頻繁に宰相を取り替えようとも簡単には対応できないだろうと思うのです。



Cloud formation may be linked to cosmic rays
雲の形成は宇宙線に関係しているかもしれない


気候変動と大気に衝撃を与える放射線との間に関連性がある事を実験が証明している。

それは陰謀論のように聞こえるだろう:宇宙の彼方からの「宇宙線」が地球の大気の中で雲を生成し、気候を変えている。 スイスのジュネーブの近くにある欧州の高エネルギー物理学研究所 CERN における実験が、その暫定的な証拠を発見している。

まだ予備的な実験ではあるが、Naturel 紙に本日発表された調査結果は、気候変化に対して遠くの星から来る放射線がどのような役割を果たしているかという長い間の論争を更に焚きつけている。

一世紀の間、科学者達は電荷を帯びた宇宙からの粒子が絶えず地球に衝突している事を知っていた。 宇宙線として知られる粒子は、主に超新星の爆発から放出されたプロトン(陽子)である。 プロトンが惑星の大気に衝突して通過する時、それらは不安定な組成物をイオン化する事があり、それらを凝固させて空気中の水滴又はエアロゾル(煙霧状の物質)を作る原因になる。 そして、その水滴の周囲で雲が生成されているかもしれないのだ。

地球に到達する宇宙線の数は太陽に依存する。 太陽が多くの放射線を放出する時、その磁界が惑星を宇宙線から保護する。 太陽活動が低調な期間には、より多くの宇宙線が地球へ到達する。

科学者達はこれらの基本的な事実に同意しているが、雲の形成と気候変化に宇宙線が大きな役割を果たしているのか否かという事については充分な合意が無い。 1990年代の終り頃から、活発な太陽活動が宇宙線のレベルを下げる時に、雲の覆いが減少して惑星を温めるのだと一部の人々は主張している。 他の人々は、そのような効果に関する統計的な証拠が無いと主張する。

偏光レンズ

「人々は余りにも偏向しており、私の考えでは、現時点では我々が充分に理解していない重要で大きな領域が存在するのです。」と、CERNの物理学者であるジャスパー・カークビーは述べた。 特に、大気の化学的性質に宇宙線がどのような影響を与える事ができるのかという事に関しては、ごく僅かな体系的研究が行われているのみである、と彼は語っている。

これを調べるべく、カークビーと彼のチームは Cosmics Leaving Outdoor Droplets (CLOUD:屋外に水滴を残す宇宙)と呼ばれる実験により、地上で大気を再現している。 チームは、特製の容器を超高純度の空気と雲の素になると考えられる化学物質:水蒸気、二酸化硫黄、オゾン、アンモニア:で充たした。 そして彼等は、世界でもっとも強力な素粒子衝突装置である大型ハドロン衝突装置に使用されるのと同じ加速器から放出されるプロトンを容器に衝突させたのだ。 合成された宇宙線が流れ込む際にどのような効果を与えるかという事を観る為、彼等は人工的な大気を注意深く観察した。

初期の結果は、宇宙線が変化を引き起こす事を示しているように見えた。 高エネルギー状態の陽子は、ガス状大気からのナノメートルサイズの粒子の生成を促進しているように見えた。 しかし、これらの粒子は雲の素となるには小さ過ぎるとカークビーは付け加えている。「現時点では、雲と気候に与える宇宙線の影響の可能性について何も証明されていないが、これは非常に重要な最初の一歩です。」と、彼は言う。

異なる結論を描く事になるものの、議論のどちらの側にいる科学者達も発見を歓迎している。 「勿論、解明すべき事は沢山ありますが、宇宙線/雲の素という仮説は現実によって収斂しつつあると考えています。」と、気候変動と宇宙線の間の関係について主張するコペンハーゲンのデンマーク工科大学の物理学者ヘンリック・スベンスマークは述べている。

異を唱える人々もいる。 雲の実験は「関係性を論証していない」と、英国レディング大学の宇宙及び環境物理学者であり、この仮説に懐疑的なマイク・ロックウッドは反論する。 大気中における雲の他の生成過程と比べ、この小さな粒子は重要な雲の素として充分な大きさで無い又は充分な早さで成長しないかもしれない、とロックウッドは述べている。

「それは信じられない程に価値があり、機が熟している。」と、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による最新の科学的調査の為に宇宙線と気候の関係を調べた英国リーズ大学の気象学者ピアーズ・フォースターは述べている。 しかし少なくとも現在、この実験が「答えよりも更に多くの疑問を提起した」と彼は語っている。

この実験が最終的に宇宙線の問題に対して答えを出す事をカークビーは期待している。 今後数年において彼のチームは容器に入れた大きな粒子で実験する事を計画しており、最終的に実験用の人工的な雲を生成する事を期待していると、彼は語った。 「少なくとも5年は要するであろう一連の測定があるのです」と、彼は言う。 「しかし最後には、我々はある方法又は別の方法でこの問題を解決させたいと考えているのです。」



ガリレオも観測していた太陽黒点は約11年周期で活動状態を変化させているのですが、太陽表面の活動が地球へ影響を及ぼすメカニズムは未だ充分に解明されていないのです。 「太陽の磁気作用が地球の気象に影響を与え、ジェット気流も変化する。」と主張するピアーズ・コービンの理論は少し怪しいのですが、北米を襲った最近の地震/ハリケーンは、彼の警告が正しかった事を証明しているのかもしれません。

一方、2008年-2009年頃に太陽活動の周期が底入れした際、大気圏上空の熱圏(thermosphere)が著しく崩壊していた事をNASAの研究チームが観測していました。 現在は再び太陽活動が極大期に向かって活発になっており、今年は巨大なコロナ質量放出(CME)が幾度も観測されていますが、2ー3年前に崩壊した熱圏が現在も充分に修復されていないとすれば、活動期を迎えた太陽からの放射線が地表へ与える影響が以前の周期におけるそれとは異なっているのかもしれません。

更に、コービンが主張するようにジェット気流が大きく変化しているのだとすれば、北米を混乱させた竜巻/熱波/ハリケーンだけでなく、世界各地で報告されている異常な気象を引き起こす原因となっているのかもしれません。

火山や地震の活動を含め、地球物理学/宇宙物理学の分野では解明されていない事が沢山あるのですが、様々な事象に何らかの相互関連性がありそうだという事を、多くの人々が感じ始めているのではないかと思うのです。

次回に続く・・・





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東欧での欧州銀行危機



EBC のUSD Swap
FRBNY FX Liquidity Swaps
8月11-17日の週にニューヨーク連銀がドル・スワップ枠でSNB(スイス中央銀行)へ$2億の緊急融資を行ない、スイス国内の何れかの銀行がドル資金の調達に苦しんでいるとの懸念が市場に広がりました。 その翌週の実績として、今度はECBへ$5億の緊急融資が行われた事をNY連銀が公表したのです。 このように、欧州の市場ではドル資金の流動性が枯渇しており、欧州系銀行は日々の決済に必要なドル資金の調達に苦しんでいるのです。 

可笑しな事に、依然としてユーロはドルに対して高いレートを維持しているのです。 これは、欧州当局者達による Pretend & Extend という対応の結果でもあろうし、本日のシンポジウムで更なる金融緩和(ドル安)政策が発表されるかもしれないという市場の期待を反映しているのかもしれません。 今週前半には、悪化した経済指標がNY市場の株価を押し上げるというヘンテコな現象も起きましたが、「悪い経済指標が公表されれば、バーナンキが更にドルを印刷して(株価を押し上げて)くれるだろう。」という期待感の表れだとも分析されているようです。 強欲な人々の思考には感服してしまいます。

その一方、欧州の金融市場を取巻く状況は一向に改善していないばかりか、新たな火種の可能性があるという事をブルームバーグが報告しているのです。



East European Swiss-Franc Loan Defaults May Fan Euro-Area Crisis, UBS Says
東欧のスイス・フラン建て債務の不履行がユーロ圏の危機を煽るかもしれない、とUBSは語った。


強くなり続けているスイス・フラン建て融資を受けている東欧の債務国が欧州系銀行への返済に苦慮しているので、ユーロ圏の債務危機が更に深刻になるかもしれないと、UBSのウェルス・マネジメントが語った。

ウニクレディット/エルステグループ銀行/ライファイゼン・バンク・インターナショナルAG/バイエリッシェ州立銀行を含む貸し手達は、ハンガリー/ポーランド/クロアチアの一般世帯に対して800億CFHを融資していると、新興市場アナリストのキリアン・リーバーが語った。 過去3ヶ月の間にスイス・フランが、フォリント(ハンガリー)に対して 9.5%、ズロチ(ポーランド)に対して 14%、クーナ(クロアチア)に対して 9%上昇した後、債務者達はより多くの支払に直面している。

「スイス・フラン建ての住宅ローン及び消費者ローンを抱えるハンガリー人、ポーランド人そしてクロアチア人達の増加する不満は、ユーロ圏に衝撃を与える事になるかもしれない。」と、電話でのインタビューの中で昨日リーバーがチューリッヒから語った。 「これは、殆どの投資家達のレーダーには映っていない。」

強いスイス・フランが東欧におけるデフォルトを引き起こし、西欧の銀行が新たな救済を求めざるを得なくなる事でユーロ圏の債務危機を煽る確率として、彼は20%から30%を見積もっている。

8月3日にスイス中央銀行が利率を引下げ、更なる高騰を食い止めると約束した後でも、スイス・フランは今年最も好調な通貨である。 米国経済が減速し、欧州の債務危機がイタリアとスペインへ拡大する中で、投資家達はスイス・フランを避難先と考えている。

スイス・フラン建てローンの拡大

東欧の借り手達は、現地通貨建ての高い金利から逃れる為に過去10年の間にスイス・フラン建てローンを求めた。 UBSのウェルス・マネジメントによると、ハンガリーの家計債務の60%以上はスイス・フラン建てであり、国内総生産の16%に相当する。 この構図はポーランドとクロアチアにおいて約10%だという事である。

UBSのウェルス・マネジメントによると、ポーランドでは1.5%、クロアチアでは 6%のスイス・フラン建てローンが不良となっているのに対し、ハンガリーにおいては1/10以上となっている。

ウェルス・マネージャの基本的な算定によると、スイス経済の減速と通貨の上昇を食い止める中央銀行の働きにより、西欧の銀行のダメージは限定的になるという事である。 この算定においては、8月10日に最高記録となる272フォリントに達したスイス・フランは向こう12ヶ月の間に210フォリントへ低下すると予測している。

東欧の銀行業界の4分の3を占める西欧の貸し手達は、債務危機が悪化して世界経済が減速するのに従い、互いに融資を縮小した。

銀行の株式

他の企業へ融資する代わりに、銀行群は今年の平均の3倍以上となる1287億ユーロ($1857億)を8月22日に欧州中央銀行へオーバーナイトで預け入れた。 銀行群は又、ECBのオーバーナイト限界貸出し(Marginal Lending)ファシリティから5億5500万ユーロを借りたが、これは8月21日の9000万ユーロから増えている。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドやソシエテ・ジェネラルの株が各々43%及び39%下落したように、欧州系銀行の株は20%下落した。 2008年にリーマン・ブラザースが破綻した後の149ポイントに比べ、25の欧州系銀行と保険会社のシニア債券に対するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の Markit iTraxx Financial 指数が252ポイントへ上昇したように、欧州系銀行の破綻に備えるコストは昨日に記録的水準へ達した。



詳しい情報を入手するのが大変なのですが、私も東欧諸国の経済状況が厳しいと考えていたのです。 約1年前に英エコノミスト誌が東欧諸国における外貨(特にスイス・フラン)建てローンの返済負担増への懸念に関する記事を掲載していたようですが、最近の急激なスイス・フランの上昇によって状況が非常に悪化していると考えられますね。

スイス・フラン建てローンだけでなく、ハンガリー/ポーランド/クロアチア/ルーマニアなどへのエクスポージャーの大きさから、これらの国々で債務不履行が起きると、オーストリーやドイツの金融機関が大きな影響を被ってしまうのです。 同様に、ギリシャが破綻した場合には、同国との経済的関係が強いキプロスやブルガリアも連鎖的に影響を被る事になるのです。

本欄で幾度も指摘しているように、災難は思わぬ方角から襲ってくるような気がするのですよ。 現時点で市場関係者の関心はジャクソン・ホールでのバーナンキの発言ばかりに向けられていますが、相対的にあまり注意が向けられていないECBのトリシェ総裁などが何らかの重大な事をコメントするかもしれませんね。

次回に続く・・・





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大気の上の異常

(追記:25日23:00)

関係者達が休暇を楽しんでいる間も、混迷を深めつつある欧州債務危機への不安は消え去っていないようです。 ギリシャへの第2弾の救済策に関しても、新たな担保の供出を要求するフィンランドへ同調する国が出現していますし、スペイン及びイタリアへの危機拡大を防ぐべくECBが市場で彼等の国債を買い支えている事の合法性も問われるようになってきました。(関連記事

財政状況が不安視される国々へのエクスポージャーの大きさから、一部の金融機関に対しても経営が不安視されるようになってきました。 米国/欧州において銀行関連の株価が大きく上下するようになってきましたが、一部の銀行のCDSは史上場最高値を更新し続けており、近い内に大きな市場の混乱が起きると警告する人々もいるのです。(関連記事

経済的な変動だけでなく、リビヤを含むアラブ地域の政変等も社会学的な事象として分析する事が可能だと思うのですが、この種の変化は長い時間が経過した後の歴史的検証によってのみ明確に説明できるのかもしれません。

その一方、米国中西部/東部やベルー内陸部等で比較的に大きな地震が発生し、終末論や破滅的事象に関する予言を好む人々の主張が増えてきたように感じます。 これらの地殻活動を最近の太陽活動(CME)や地球に及ぶ電磁気的影響と関連付ける人々もいるようです。

太陽活動による電磁気的な影響は、地球の磁場や地球を取巻くヴァン・アレン帯等の状態に大きく左右されるようです。 それ以外の太陽放射線が地球表面へ及ぼす影響は、大気の状態と密接に関係しているというのが現在の一般的な地球物理学的理論なのですが、大気の状態についても解明されていない事が多いので、ちょっと古い記事を整理してみました。



A Puzzling Collapse of Earth's Upper Atmosphere
上層大気圏の謎の崩壊


2010年7月15日:NASA が支援する研究者達は我々の惑星の大気圏で起きている大きなイベントを観測している。 大気圏が宇宙と接する地表の遥か上空で、高高度に位置して「熱圏」と呼ばれるガスの層が最近崩壊し、そして現在は再び再構成されつつある。

熱圏
「これは少なくとも43年間で最大の熱圏の収縮です」と、Geophysical Research Letters (GRL) - 地球物理学研究報 - の6月19日号で発表された新たな発見に関する論文の主執筆者であり、海軍研究所に勤めるジョン・エマートは語った。 「これは宇宙時代の記録です」

この崩壊は 2008-2009年の太陽活動が低下していた時期(太陽極小期)に起こり、研究者達にとってはチョットした驚きでもあった。 太陽活動が低調な時、常に熱圏は低温となり縮小する。 しかし今回の場合は、低調な太陽活動で説明できる現象の2-3倍となる大きさの崩壊だった。

「我々には理解できない何かが起きているのです」と、エマートは述べた。

熱圏は高度 90km から 600+km の範囲に存在する。 それは、流星、オーロラ、人工衛星等が飛び交う領域であり、それらは熱圏をかすめながら地球の周囲を回っている。 それは又、太陽の放射線が我々の惑星と最初に接触する場所でもある。 熱圏は、太陽からの激しい紫外線(EUV)を地表へ到達する前に遮断する。 太陽活動が活発な時に太陽の EUV は熱圏を暖め、キャンプファイアーの上にマシュマロをかざした時のように膨らませる。(この加熱作用は温度を 1400 K(絶対温度)にまで上昇させることとなり、これが”熱圏”の由来となっている。) 太陽活動が低調な時には、逆の現象が生じる。

最近、太陽活動は非常に低調であった。 2008年と2009年には、百年に一度というレベルにまで低下した。 太陽黒点は少なく、太陽フレアは殆ど存在せず、太陽 EUV の放射は衰微した。 何が起きるのかを見る為に研究者達は熱圏に注意を向けた。


熱圏グラフ
これらのグラフは、過去4回の太陽周期の間に(400km の基準高度地点で)熱圏の密度が如何に増大/減衰したかという事を示している。グラフ (a) と (c) は密度;グラフ (b) は、太陽活動の重要な指標である波長 10.7 cm の太陽の電波強度を表す。 注意すべきは黄色の円で囲まれた部分(※)である。 2008年 と 2009年で、熱圏の密度は前の太陽極小期から予想された値より 28% 低かった。
著作:エマート他 Geophys. Res. Lett., 37, L12102
(※)上記の図には黄色の円が示されていませんが、グラフ (c) の28%と表記されている部分です。

熱圏で起きている事をどのように知る事ができるのか?

エマートは賢い方法を用いている:熱圏を通過する時に人工衛星は空力学的な抵抗を感じるので、人工衛星の破損を監視する事で熱圏の状態を観測する事が可能である。 彼は、高度 200 から 600km に存在する5000以上の人工衛星の破損状態を1967年から2010年に亘って分析した。 これは、殆ど全ての宇宙世代をカバーする熱圏の密度/温度/圧力について、ユニークな「宇宙時代の」標本データを提供してくれた。 このようにして、2008年-2009年の熱圏の崩壊はそれ以前の如何なる崩壊よりも大きかったというだけでなく、太陽の活動のみで説明できるよりも大きかったという事を彼は発見した。

これを説明する一つの可能性は二酸化炭素(CO2)である。

二酸化炭素が熱源に入り込んだ時、赤外線放射により熱を発散し、冷却材として作用する。 地球の大気中で CO2 濃度が増加している事は広く知られているとおりである。 熱圏内の過剰な CO2 は太陽極小期の冷却作用を増大させているかもしれない。

「しかし、数値はそれほど上昇していないのです。」とエマートは述べた。 「冷却材としてどのように作用するかという事に関して我々が持つあらゆる知識を利用しながら CO2 を考慮に入れた時でさえ、熱圏の崩壊を全て説明する事ができなかったのです。」

エマートと彼の同僚達によると、低い太陽 EUV は崩壊の原因の 30% である。 過剰な CO2 は少なくとも他の 10%となる。 残る 60%が不明なままである。

彼等の GRL の論文において、著者達は状況が複雑である事を認めている。 単純に太陽 EUV と地球外の CO2 だけというよりも、更に何かがあるのだ。 例えば、地球における気候変動の傾向が熱圏の組成を変えているかもしれず、熱特性やそれが外部からの刺激に反応する仕組みを変化させているかもしれない。 太陽放射に対する熱圏の感度は実際に増加しているのだ。

「密度の異常は、エネルギー・バランスと化学的還元作用を含む”未だ特定されていない”気候学上の転換点に達した事を意味しているのかもしれない」と、彼等は論述した。

又は違う。

重要な手掛かりは熱圏が復元する過程で見つかるかもしれない。 太陽極小期は現在終わろうとしており、EUV は増加に転じており、熱圏は再び膨張し始めている。 復元が如何に正確に進展するかという事は、太陽または地球外の要因が寄与している事を説明できるかもしれない。

「我々は引き続き状況を監視します。」と、エマートは語った。



自然科学の分野において従来の理論/知識だけで説明できない不可思議な事象が観測された場合には、あくまでも更なる観測/検証/考察によって科学的に理論体系を強化していくべきだと私は思うのですよ。

上記の記事は約1年前に公開されたものですが、その後解明は進んでいるのでしょうか?。

次回に続く・・・

追記:

経済が減速しつつあるという不安から世界中の株式市場が急落した際、フランスやイタリア等が株式の空売り(Short Selling)を一時的に禁止しましたが、その禁止措置期限は明日26日とされていました。 しかし、幾つかの金融機関に対する経営不安が一向に払拭されない状況に鑑み、欧州の当局者達は同措置の期限の延長を検討しているようです。

バフェットがバンク・オブ・アメリカへ$50億投資すると表明した事と同様に、このような作為的な対応は欧米の(一部)銀行の経営状態が厳しい状況にある事を更に強調する事になるだけだと思うのですけどね。




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FRBの融資実態

8月前半に市場を覆った景気減速や欧州債務危機の不安が一時的に忘れられたような情況となっているようです。 市場関係者達は一様に、今週末の年次総会で株価の上昇(≠ 景気回復)を支援するような内容の金融政策をバーナンキFRB議長が表明する事を期待しているようです。

その一方、2008年の金融危機の際にFRBが行った緊急融資プログラムについて、ブルームバーグが詳細な分析レポートを発表してくれました。 残念ながら、ブルームバーグ・ジャパンは本レポートの要約しか掲載していないようなのです。(記事1、 記事2

欧米でも、ブルームバーグのレポートの要約のみを掲載しているサイトが多いようです。

Guess How Much Wall Street Borrowed From Fed During Crisis While Americans Went Bust?
Bloomberg reveals massive corruption in the private Federal Reserve

という訳で、問題の融資内容を詳細に理解しようとブルームバーグの報告を読んでみたのですが、結構長いレポートなのですよ、これが。



Wall Street Aristocracy Got $1.2 Trillion From Fed
ウォールストリートの貴族達は FRB から1.2兆ドルを得た


住宅価格が頂点に達し、米国における銀行及び証券の最大手10社が$1040億の利益を上げて史上最高の年となった2006年時点では、シティグループとバンク・オブ・アメリカが当時の現役王者だった。

住宅市場の崩壊は、2008年までにこれらの企業が米連邦準備制度理事会からの緊急融資として6倍以上にもなる$6690億を受け取る事を余儀無くした。 この融資額は、これらのトップ10の企業が財務省から受けた公的救済資金の$1600億さえ小さく見せてしまうが、今日においてさえ全容は秘密のままである。

Fed 議長であるベン.S.バーナンキによる景気後退への転落から経済を守る為の前例の無い努力は、$1.2 兆の公的資金の貸付けを含んでいるが、これは米国の住宅所有者が現在負っている650万件の滞納及び差押さえ対象ローンとほぼ同額なのである。 数ヶ月に及ぶ訴訟と議会の働きかけにより、情報公開法に基づく要求で得られたデータをブルームバーグが編集したところによると、最大の借り手であるモルガンスタンレーは$1073億もの資金を手にし、シティグループは$995億であり、バンク・オブ・アメリカは$914億である。

「これらは全てスゴイ数字なのです」と、1990年代に貯蓄貸付組合の危機の原因調査委員会に加わった元法務省高官であるロバート・ライタンは述べている。 「あなたは、連邦政府の金が無ければパイプの中を落ちていくアメリカ金融機関の貴族達の事を語っているのです。」

(Fed の金融救済状況を表すブルームバーグのインタラクティブなグラフィックを参照)

外国の借り手

それは単にアメリカの金融だけではなかった。 最大融資額によって評価した場合、Fed が融資した上位30の相手のほぼ半分は欧州の企業であった。 それらの中には、エジンバラに拠点を置き$845億という非米国系としては最大の資金を得たロイヤル・バンク・オブ・スコットランドや、チューリッヒに拠点を置き$772億を手にしたUBSが含まれている。 ドイツのハイポ・リアルエステート・ホールディング・AGは$287億を借り、同社の1366人の従業員の一人当たり平均では$2100万となる。

最大の借り手には又、資産規模でベルギー最大となるデクシアSAが含まれ、欧州における国家債務危機の拡がりがデフォルトの可能性を増やすと投資家達が推測した事により先月の債権発行コストが急上昇したソシエテ・ジェネラルSA、パリに拠点を置く、も含まれている。

2008年12月5日に最高となった$1.2兆という額 -- 7つのプログラムの合計残高としてブルームバーグが集計した -- は、その年の連邦政府の財政赤字のほぼ3倍であり、連邦政府が保証する米国の銀行が2010年までの10年間に得た総利益よりも多いという事をブルームバーグが集計したデータが示している。

ピーク時の残高

融資残高は、金融危機以前の貸出し最高値としてテロリストがニューヨークの世界貿易センターとペンタゴンを攻撃した翌日の2001年9月12日に記録した$460億の25倍以上であった。 $1紙幣に換算すると、$1.2兆という額はオリンピックサイズの水泳プール539個を満たす量である。

緊急プログラムの何れにおいても「損失は発生していない」と Fed は述べており、2007年8月から2009年12月までに融資プログラムから得られた正味の利息は$130億になると2月のニューヨーク連銀の報告書が述べている。

「効果的に危機を食い止めると共に米国の納税者に対する財務的なリスクを最小化するよう、我々は広範囲な緊急プログラムを設計した。」と、ワシントンにある Fed の金融業務部門の副部門長であるジェームズ・クラウズは語った。 「我々の緊急融資のほぼ全てが終了した。我々は損失を計上していないし、見込んでもいない。」

国内総生産が27%低下した1929年6月から1933年3月までの4年近くには及ばないものの、国内総生産が 5.1%縮小した後で2009年6月に終了した18ヶ月に及ぶ米国の景気後退の間、銀行と経済はストレスに晒されたままであった。

景気後退の賭け率

全米経済研究所のビジネス・サイクル日付委員会の9人のエコノミストの内の5人及び景気後退を判定する学術的メンバーによると、過去6ヶ月の間に新たな景気後退の賭け率が上昇した。

先週のバンク・オブ・アメリカの債権発行コストは、$1000万の借入に対して年間$342,040という率に上昇し、リーマンブラザースが倒産した週の初めに債権を発行した際のコストを上回った。 シティグループの株式は、分割調整後の価格で、2009年の1月に Fed からの融資が最高となった日に記録した$28よりも低い価格で取引されている。 景気後退が始まる前の2007年11月に 4.7%であった米国の失業率は、7月に 9.1%となった。

米国における438万戸の住宅所有者達は支払期日を30日以上経過しているローンを抱えており、更に216万戸の住宅が差し押さえられ、未完済元本の合計は$1.27兆になると、フロリダ州ジャクソンビルに拠点を置く Lender Processing Service 社は見積もっている。

流動性の要件

6月1日にワシントンで行われた Fed の貸出しに関する公聴会において、「何故、クソFRBはこれらの巨大な金融機関を助ける方法を見つける事ができるように見えるんだ?。」と、ノースカロライナ選出のウォルター.B.ジョーンズは語った。 「ノースカロライナと恐らく米国中の平均的な勤労者が15年又は20年もの間融資を受けていた銀行へ出向く事さえできない時に、奴等は助けてもらったんだ。」

Fed の純粋な融資規模は、初めて銀行へ課す事で昨年にグローバルな規制当局が合意した最低限の流動性の要件を支える事となったと、ミズーリ州に拠点を置いて起業家精神の研究を支援しているカウフマン財団の人間であり、現在はカンザスシティ連銀の副理事でもあるリタンは述べた。 流動性とは、銀行が日々の業務に必要とする資金の事であり、預金者達による引き出しにも対応するものである。

危機が起きた時でも30日間生き残る為に充分な現金と容易に現金化できる資産を維持する事を義務付ける規則は、2015年まで有効とならない。 1年の間生き残るべく貸し手が”安定的な資金”を維持すべきであるという新たな要求は、銀行がその為に$6兆の新たな長期債務を必要とする事を明らかにした後、少なくとも2018年まで延期された。

厳しい構図

規制当局は「これが再び起きるのを防ぐために充分な事をやろうとしていない」と、国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストで現在はハーバード大学の経済学教授であるケネス・ロゴフは述べた。

ドッド-フランク法によって創設され、財務長官のティモシー・ガイトナーに率いられた10人のメンバーで構成される米国の金融安定化監視評議会によると、危機以来実施されてきた改革は、ギリシャ/ポルトガル/アイルランドが直面しているような国家予算と債務の危機から米国の市場と金融機関を隔離していないかもしれない。

「最近の金融危機は、自信の崩壊と金融感染の拡大が如何に早く進行するかという厳しい構図を明らかにした。」と、7月26日の報告書で評議会は表明した。

21,000回の取引

米国の中央銀行が行う如何なる新たな救済も、2010年に採択され、2年経過した時点でFRBが借り手を開示する事を要求する透明性法によって監督される。

借り手を特定して融資条件を開示する事は銀行に烙印を押す事となり、株価の下落又は預金者の離散を招きかねないとして、Fed の当局者達は2年以上を主張した。 最大の商業銀行の一団が昨年に、少なくとも一部の Fed からの借入について秘密を守るよう最高裁判所へ要請した。 3月、高等裁判所はその主張を却下し、中央銀行は前例の無い量の記録を開示する事となった。

情報公開法の下で明らかにされた 29,346 ページの資料と、21,000 以上の取引のデータベースから収集されたデータが、世界最大の銀行群が現金の不足を食い止める為に如何に深く米国の中央銀行に依存したかということを初めて明らかにした。 充分な現金を保有していたとニュースが断定した又は収益報告が示した大手の企業でさえ、脆弱性の汚名を避けるべく、Fed から秘密裏に資金調達していた。

モルガンスタンレーの借入

2008年の9月にリーマンが倒産した2週間後に、次はモルガン・スタンレーだろうという懸念に対して、同社は「強力な資本と流動性」を持っているとアナウンスする事で反論した。 2008年9月29日のプレス・リリースにおける発表文は、東京に拠点を置く三菱UFJフィナンシャルグループからの$90億の資本参加について触れたのみであり、Fed からの融資については何も言わなかった。

金融危機調査委員会によって2年以上も経過してから公表されたデータと資料によると、これは、この会社の中央銀行からの借り入れが$1073億のピークとなったのと同じ日であり、それはモルガン・スタンレーが使用可能な現金の殆ど全てであった。 この金額は、この会社の過去10年間の総利益のほぼ3倍であると、ブルームバーグが集計したデータが示している。

この危機が金融業界の現金の管理方法を「根本的に再評価する」原因となったと、ニューヨークに拠点を置くモルガン・スタンレーの広報官であるマーク・レイクは語った。

「この期間に我々は学び、それを我々の支店と顧客の両方の発展を保証する流動性管理プログラムに適用した。」と、レイクは語った。 銀行は何を変えたのかという事について、彼は明言を避けた。

受け入れ可能な担保

大抵の場合、Fed は融資に対して担保 -- 資金が返済されなかった場合に売却できる財務省証券又は社債、モーゲージ債 -- を要求した。 これは、破綻した銀行が差し出した担保の価値が借り入れの額よりも少ないという事が中央銀行の主たるリスクだということである。

危機が深まるにつれ、Fed は受け入れ可能な担保の基準を緩和した。 一般的に、中央銀行は米国債等のように最高の信用格付けを持つ債権のみを受け入れる。 2008年の後半までに、彼等は投資適格級以下となる”ジャンク”債を受け入れていた。 彼等は株式さえ受け入れるようになったが、それらは清算の際に真っ先に掃き出されるものである。

Fed の資料によると、モルガンスタンレーは合計$665億の担保差し入れを誓約した上で 2008年9月に Fed の救済プログラムから$613億を借り入れた。 資料によると、$215億の株式、$66.8億のジャンク級債券、そして$195億の「格付け不明」の資産が約束した証券に含まれていた。 担保の約25%は外国(通貨)建てであった。

'貸出し意欲'

「あなたが目にしているのは、どんな物に対しても貸し出すという意欲です。」と、アトランタ地区連銀の元研究ディレクターで現在はフロリダ州サラソタに拠点を置くカンバーランド・アドバイザーのチーフ金融エコノミストであるアトランタ在住のロバート・アイゼンバイスは語った。

民間市場における融資の選択肢の不足は、取引の相手や預金者が銀行の資本と担保の価値について如何に疑っているかという事を示しているとアイゼンバイスは語った。

「市場は閉鎖された」と、スタンダード&プアーズの元銀行調査部長で現在はニューヨーク州ブライアールクリフ・マンナーで独立系コンサルタントをしているターニャ・アザークスは語った。 「流動性が必要ならば、出向く先は只一つ。」

政府の資本注入を受けずに危機を生き延びた銀行でさえ、秘密を約束された Fed のプログラムに手を伸ばした。 ロンドンに拠点を置くバークレイズは$649億を、フランクフルトに拠点を置くドイツ銀行AGは$660億を得た。 バークレイズの広報担当であるサラ・マクドナルドとドイツ銀行の広報担当であるジョン・ギャラガーはコメントを避けた。

市場の利回り以下

通常 Fed の「最後の貸し手」としてのプログラムは、借り入れの常態化を防ぐ為に市場よりも高い利率を設けているが、それは危機の最中には時として反転する事がある。 例えば、2008年10月20日に公表された報道資料によると、同日に行われた入札型ターム物貸し出し(TAF)において中央銀行は28日間の$1133億の融資を1.1%という利率で実施する事に合意した。

この利率は、銀行が相互に1ヶ月の融資を行う際に課す利率のこの日時点の値である3.8%の3分の1よりも少なかったのである。 バンク・オブ・アメリカとワコービアは、それぞれ$150億を1.1%のTAF融資で得ており、それに続いてロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が$100億を得たという事を Fed のデータが示している。

ニューヨークに拠点を置く貸し手であるJPモルガン・チェースは、「堅牢なバランスシート」という売り文句を2007年10月から2010年2月までの報道機関向け資料及び電話会議で少なくとも16回は宣伝したが、2009年2月にTAFから$480億も得ていたのだ。 2007年12月に設けられたこの仕組みは、現金が不足した際に銀行を助ける為の第1の融資プログラムとして97年間使用されているディスカウント・ウィンドウに代わる一時的な手段だった。

’TARP よりも大きい'

2007年にはウォール街の歴史上最も収益性の高い証券会社であったゴールドマン・サックスは、2008年12月31日に Fed から$690億を借りた。 ニューヨークに拠点を置くゴールドマン・サックスがリーマンの倒産の後で手を伸ばしたのは Primary Dealer Credit Facility 又は PDCF と呼ばれるもので、Fed の銀行貸し出しプログラムに適合しない証券会社へ資金を貸す為に設計された仕組みである。

ゴールドマン・サックスの広報担当であるマイケル・デュヴァリーはコメントを避けた。

Fed の流動性ライフラインは、借り入れた資金で銀行が過剰なリスク事業に取り組む機会を増やしただろうと、ロゴフは語った。 必要な時には Fed がいてくれるものと銀行が仮定するようになった場合、モラルハザードと呼ばれるこのような現象が起きると、彼は語った。 銀行の借入額の大きさは、「Fed の救済は様々な点で TARP よりも遥かに大きなものであった事を確かに示している」と、ロゴフは述べている。

TARP は財務省の不良債権救済プログラムであり、シティグループとバンク・オブ・アメリカのそれぞれに$450億を、モルガンスタンレーに$100億を資本注入として供給する$7000億の銀行救済基金である。 財務省の投資の殆どは優先株の形で行われる為、優先債権に類する Fed の融資よりもリスクが高いと考えられていた。

ドッド-フランク法の要件

ドッド-フランク法に対応し、12月に Fed は彼等の一時的な緊急融資プログラムを詳述した18のデータベースを開示した。

ブルームバーグ・ニュースのリポーターであるマーク・ピットマンや他のメディア企業による、情報公開法の下で融資の詳細を明らかにすべきという要求を Fed が拒否した後、議会が情報の公開を求めた。 データの秘匿性を守ろうと争った後、裁判所の命令に従って2011年の3月に中央銀行はディスカウント・ウィンドウと他のプログラムに関する前例の無い情報を開示した。

資産担保コマーシャル・ペーパーMMMF流動性ファシリティ/コマーシャル・ペーパー・ファンディング・ファシリティ/ディスカウント・ウィンドウ/PDCF/TAF/ターム証券貸出しファシリティ及びシングル-トランシェ公開市場操作を含む、全てのプログラムに関して各銀行の日毎の合計を作成すべく、ブルームバーグ・ニュースは、12月及び7月に利用可能となったデータベースと3月に公開されたディスカウント・ウィンドウの記録を統合した。 それらのプログラムは2007年8月から2010年4月まで融資を提供した。

転がり続けている危機

金融感染の拡大として、信用危機が如何に早く一つの銀行から他の銀行へ転じていくかという事を表すタイムラインが結果である。

元とレーダーのジェローム・ケルヴィエルによる不正な株価指数先物への賭けで記録的な49億ユーロ($72億)の損失を発表した4ヵ月後、パリに拠点を置く貸し手としてフランスで2番目に大きな銀行であるソシエテ・ジェネラルの借入額は、2008年5月に最高の$174億となった。

モルガン・スタンレーの借り入れが最大となったのは、リーマンの倒産の4ヶ月後であった。 シティグループは、他の43の銀行と同様に、2009年1月に危機の期間中でピークとなる最大の借り入れ額を記録した。 バンク・オブ・アメリカの借り入れのピークは、その2ヵ月後であった。

テキサス州プラノに拠点を置くビール・ファイナンシャルや、フロリダ州ジャクソンビルに拠点を置くエバーバンク・ファイナンシャルを含む16の銀行は、2010年2月に借り入れのピークを迎えた。

子会社の活用

「融資は担保を要求しているので、Fed または納税者には実質的なリスクが無い。」と、$250億を借りたエバーバンクの広報担当であるレシュマ・フェルナンデスは語った。

銀行は、子会社を使って同時に Fed のプログラムを活用することで借り入れを最大化した。 2009年3月、ノースカロライナ州シャーロッテに拠点を置くバンク・オブ・アメリカは、一つのファシリティから二つの銀行部門を通じて$780億を、他の二つのファシリティから彼等自身の仲介部門であるバンク・オブ・アメリカ証券を通じて$118億を引き出した。

銀行は又、Fed のプログラム群の中で資産配分を移動した。 ニューヨーク地区連銀の研究者が2011年1月に発表した資料によると、ディスカウント・ウィンドウに関連して被る汚名の影響が少ないので、窮地に陥った貸し手にとっての最後の砦として見られがちな TAF の方を多くの銀行は好んだという事である。

リーマンの破綻後に次はモルガン・スタンレーであるかもしれないと恐れたヘッジ・ファンドが同社から現金を引上げ始めたと、元CEOのジョン・マック及び財務担当のディビッド・ウォンへのインタビューを引用しながら、金融危機調査委員会が1月の報告書の中で述べている。

借入額の急上昇

9月14日にゼロであった PDCF からのモルガン・スタンレーの借入額は、9月29日には$613億へ急増した。 同時に、ターム証券貸出しファシリティ(TSLF)からの借入額は$35億から$360億へ上昇した。 FCIC が公開したモルガン・スタンレー財務部門の報告によると、同社は9月29日時点で$998億の流動性資産を保有していた事になっているが、これには Fed からの借入れが含まれていたのだ。

「キャッシュフローは全て干上がっていたのだ」と、Fed の元エコノミストで現在はニューヨークにある信用格付け会社 DBRS の金融機関担当部門長であるロジャー・リスターは語った。 「彼等が問題へ対処するのに充分な資金を持っていたかって?。答えはイエスだが、彼等は Fed を必要としていたんだ。」

モルガン・スタンレーにとって Fed の必要性が最も深刻であった時期、シティグループは米国の最大手の銀行の中で最も慢性的な借り手であった。 ブルームバーグのデータによると、ニューヨークに拠点を置く同社は、2007年12月のプログラムの初日に TAF から$1千万を借り、2008年5月までに全てのプログラムから$250億を超える借入れ残高を持っていたのだ。

6つのプログラムに縋る

月初に受け取った$250億に加え、更に$200億の資本注入を得ようとシティーグループが政府との協議を開始した11月21日時点までに、彼等の Fed からの借入額は約$500億へ倍増していた。

次の2ヶ月の間に、借入額は再び倍増した。 シティグループの資本余力は不十分であろうと投資家達が懸念を抱いた事で16年ぶりに同社の株価が$3を下回った1月20日に、シティグループは Fed の6つのプログラムへ同時に縋りついていたのだ。 同社の借入れ総計は、連邦政府教育省の2011年予算の2倍以上に膨らんだのである。

2007年8月から2010年4月までの間、シティグループは 10日の内7日は Fed に借金をしており、金融危機前の市場価格評価上位100社の中で最も頻繁に借入れを行っていた米系金融機関である。 同社の Fed に対する日毎の借入残高は、平均するとほぼ$200億であった。

’他者が動機付けられる事を助ける’

「基本的に、シティバンクは Fed によって非常に長い期間維持されていた。」と、金融危機を研究したフィラデルフィアにあるペンシルベニア大学の金融学教授であるリチャード・へリングは語った。

シティグループの広報担当であるジョン・ダイアットは、同社がプログラムを使用して「市場での信頼を徐々に浸透させるという目標を達成した」と語っている。

JPモルガンのCEOであるジェイミー・ダイモンは、彼の銀行が多くの政府プログラムを避けたと株主に宛てたレターの中で述べている。 彼等は TAF を使用したのであるが、「しかしこれは、他の金融機関がこのシステムを利用する事を動機付ける為であるという FRB の要請に応じて実施したものです。」と、ダイモンはレターの中で述べている。

この米国第2位の資産規模を持つ銀行は、TAF が導入されてから6ヵ月後の 2008年5月に初めて同プログラムを利用し、2008年9月には借入金を全て返還した。 その翌月、彼等は再び TAF を利用し始めた。

TAF の創設から一年以上経過した2009年2月26日、このプログラムの下でのJPモルガンの借入額は$480億に上昇した。 その日、全ての銀行の TAF からの借入残高合計は最高の$4932億に達した。 2週間後、この数値は減少し始めた。

「以前に我々が述べたコメントが正確だったのだ」と、JPモルガンの広報担当であるハワード・オピンスキーは語った。

’最も安価な資金源’

ペンシルベニア大学教授のへリングは、「これは秘密であり決して公表される事が無いと考えられているので、最も安価な資金源から」借り入れる事によって一部の銀行は利益を最大化する目的の為にこのプログラムを利用したかもしれない、と語った。

銀行が生き残りの為に Fed を必要とするのであれ、又は有利な利率で貸してくれるから利用するのであれ、最後の貸し手という中央銀行の役割は、銀行にとって危機の際には資金が提供される事を保証してくれる無料の保証契約となってしまった、とヘリングは語った。

銀行が中央銀行の資金にアクセスする権利に対して中央銀行は課金する事を検討すべきであると、昨年10月のIMFの報告書が述べている。

「公的な介入に及んだという事は、システミックな流動性リスクが過小に評価され、公的部門及び民間部門の両方が誤った価格として織り込んだ事の明らかな証拠である。」と、4月の別の報告書においてIMFが述べている。

Fed によるバックアップ・サポートに頼るのは「あなた自身をより大きなリスクに晒す事につながる」と、ヘリングは語った。 「もしそれが無かったならば、そのような類の資金に頼る事が必要となるトラブルに巻き込まれてしまうようなリスクを取らなくなるでしょう。」



QE2の発動を表明した昨年と同様に、今週金曜日にジャクソン・ホールで行われるシンポジウムでもバーナンキ議長が市場を押し上げてくれるだろうと期待する人々は少なくないようです。 その一方で、これまでの金融緩和策/流動性供給策が景気の浮揚に寄与していないという事実から、QE3の可能性は少ないと主張する人々も多く存在します。

私もQE3の可能性は少ないと思いますが、誰も予想しないようなサプライズを表明するかもしれないと期待して(恐れて)もいるのです。

次回に続く・・・




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