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崩壊がやってくる?

今週前半の市場は、"BBC Speechless As Trader Tells Truth: "The Collapse Is Coming...And Goldman Rules The World"(トレーダーが真実を語った為、BBCは言葉を失った:”崩壊がやってきます...この世界はゴールドマン・サックスが支配しているのです”)という Zero Hedge の記事で紹介されたトレーダーのインタビューで持ち切りでした。(勿論、日本の馬鹿メディアの皆さんは全く関心を寄せていませんが。)

なるほど、やはり近い内に大きな崩壊が起きるのでしょうか?。



Increasing Indications of a Potential Eruption at El Hierro?
増加し続けるエル・イエロにおける潜在的な噴火の兆候?


盛夏の頃から我々はカナリア諸島のエル・イエロにおける群発地震を注視してきたが、火山における地震活動の強さと回数が劇的に増加しているようだ。 7月中旬以降、カナリアのホットスポットによって形成された楯状火山の山頂である小さな島において、8000回を越える地震が記録された-Eruptions(本サイト)の読者である Lurking(ハンドル名:現在は GeoLurking と名乗っている?)によって作成された深さと場所の変化を一緒に投影したこの素晴らしいビデオを見て欲しい。 最近まで、地震はエル・イエロで暮らす人々にとって注目に値する程のものではなかったが、月曜日以降M3-4規模の複数の地震が発生しており、月曜日だけでも30回の地震が起きている*。 興味深い事に、地震の分布を眺めてみると(下記参照)、最近の3日間に発生した地震は4日前又はそれ以前に発生した地震よりも深い地点にある。 多くは火山の表面から14-16km下を中心としており、カナリアのホットスポットの(マントルの)上昇流にあるマグマの源であろう上部マントルに入り込んでいるのだ。 増加している地震活動と強さは噴火する可能性を示唆しているのかもしれないが、実際にはマグマが地表へ近付くに連れて地震(の震源)が浅くなると考えるべきであり、現在はそのような状態にないのである。 火山の下で新たなマグマがガスを噴出している事を示す別の手がかりとして2酸化炭素の放出が安定的に増加しているのだが、カナリアの国立地質学研究所のディレクターであるマリア・ホセ・ブランコは近い内に噴火する可能性を10%以下と見積もっている。

*追記、エル・イエロにおける地震活動を時間軸上に表しつつ”蓄積されたエネルギーの開放”を多くの人々が話題にしている事は知っている。 現在の状況は非常に印象的であるが、それが火山噴火の可能性について何を語るものであるか私には良く判らない。 私が現在目にしているのは、更に多い/大きい地震が生じると、それらの地震によって開放されるエネルギーが増えるという事だ-しかし、この事は噴火の可能性と実際には関係が無い。 既に述べた様に、我々が確認すべきなのは更に浅い地震の傾向なのだが、このプロット上で他の誰かには見えている又は理解できている事を私は見落としているのかもしれない?。

エル・イエロ地震活動20110928
Seismicity at El Hierro over the past few weeks, with most recent in red. Image courtesy of IGN.
しかし、エル・イエロの地元政府は如何なる機会も得ていない。 火山の地震活動は、地震を契機とする地滑りへの恐怖から、島で起きる地震へどのように対処するかという幾つかの指示と共に島のトンネルの閉鎖及び300人の一時退避所への避難を促した。(更新:観光客達が幾つかの場所で避難させられている事を述べたこの記事を見つけたのだが、彼等は理由を間違えているように思う-噴火で飛来する火山性噴出物では無く、むしろ潜在的な地滑り(が避難すべき理由)なのだ。) そのように兆候が変化しているのであれば、私は噴火が起きるように思うし、その時には政府が潜在的な火山の災害について広報する事になるだろう。 エル・イエロに関し、主要な災害は溶岩流及び火山の上で開く裂け目から潜在的に噴出する火山灰になろう-例としてピトン・デ・ラ・フォーナイゼやキラウエアを考えてほしい。 エル・イエロの地震活動についてはIGNのウェブサイトの幾つか(末尾に示すリンクのページ)で監視することができる。 最後の(そして確認されている)有名なエル・イエロの噴火から約2500年経過して暫く間が開いているので、これは明らかにヨーロッパ人がそこに定住して以来初めての事となるのだ。 しかし、現在の兆候は噴火が避けられないという事を未だ示していないが、マグマがエル・イエロのマグマ・システムの下に達する地点で移動している事を示しているのだ。

エル・イエロ海面下構造



Another deadly window: El Hierro may be the last piece in the puzzle that shows Earth is in trouble again
新しい致命的な期間:エル・イエロは、地球が再びトラブルに見舞われているという謎を解く最後の鍵かもしれない。

33年間の大災害の期間(1783-1816):228年前にこの惑星上で起きた事と同様に、我々は新たな大災害の期間に戻っている。 この期間は近代の歴史上で最も致命的な噴火-アイスランドにおいてラキ火山の裂け目からの噴火と共に始まった。 1783年から1784年の噴火は、その火山噴出物により全世界で推定6-7百万人の命を奪った。 アイスランドはマグマ上昇流の上に存在している。 1793年には、15000人の命を奪う地滑りと津波を引き起こした日本の雲仙岳と同様に、同じくマグマ上昇流の上に存在するエル・イエロが噴火した。 23年後、インドネシアでタンボラが噴火し、92000人の命を奪った。 明らかに、これらの超火山活動の期間は地震と共に地球全体で火山が揺り動かされた事を意味している。 この荒れ狂った33年の間に巨大な破壊的地震が火山と連動した。 エクアドルで41000人の命を奪った1797年のリオバンバの8.3の地震。 同じ年にインドネシア・スマトラを襲った8.4の地震。 1802年にルーマニアを襲ったマグニチュード7.9の地震と、1810年にクレタ島を襲って2000人の命を奪ったマグニチュード7.5の地震。 1811年から1812年の間に何れも米国のニュー・マドリッド断層を襲ったマグニチュード8.1、7.8そして8.0の地震、そして1812年にはカリフォルニアのサンタ・バーバラ及びライトウッドの両地点が共にマグニチュード7.0の地震に襲われた。



60-80年程度の寿命しか持たぬ人間の感性では、数年-数十年という期間に及ぶ変化の最中に「その変化自体」を理解する事が難しいのかもしれません。 戦後に台頭してきた新興工業国の日本とドイツを1985年のプラザ合意で押さえつけた後、インチキな金融工学を駆使して米国/英国が経済力を復活させました。 その後、1990年代半ばから2000年代初頭にかけてITバブルが発生し、ITバブル崩壊及び9.11テロの影響によって低迷した景気を(強引に)押し上げるべく、欧米において住宅/金融バブルが発生しました。 現在は、欧米の住宅/金融バブル崩壊による世界経済崩壊の過程にあるのでしょうが、数十年程度を経てからでないと現在起きている現象を客観的に理解する事ができないのかもしれません。

常々思う事なのですが、将来の歴史の教科書を読んで見たいものです。

次回に続く...



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備え(避難)は早めに

ギリシャ他の債務危機対策としてEFSFの機能を強化する案に関し、ユーロ圏加盟各国内での批准作業が始まっています。その一方で、米国財務長官のガイトナーが提案したTARP型の救済資金拡充策に関しても様々な憶測が飛び交い、今週初めから株式/商品/ユーロの相場を押し上げていますね。

しかし、新たなSPVを設けてレバレッジを効かせるというのは、これまでのインチキを誤魔化す為に更に大きなインチキを行うようなものだと思うのです。”Too Big to Fail(大きすぎて潰せない)" というのはリーマン崩壊後の金融機関の救済を正当化すべく当局者たちが主張した表現ですが、このような当局者たちの対応については”Too Stupid to Stop(バカ過ぎて止められない)”とも揶揄されているのですよ。

強欲な連中に操られる経済/金融政策当局者達を信用してはいけないのでしょうが、自然災害に対して懸命に人命の救助を考えている当局者達は大変そうなのです。



Rising Volcanic Activity Prompts Evacuations On El Hierro, The Canary Islands
増加する火山活動はカナリア諸島エル・イエロ島での避難を促している


火曜日と水曜日にカナリア諸島エル・イエロ島の地下で地震活動が劇的に増加した後、この島の火山が直ちに爆発するかもしれないという恐怖が高まっている。

火曜日にカナリア諸島最小の島で150回以上の地震が記録され、何人かの地元住民を避難させると共にエル・イエロの主要なトンネル及び学校を封鎖する様当局者達を促した。

少なくとも20回以上の、リヒター・スケールでマグニチュード3.0を越える地震が過去24時間に地元住民に感じられた。 マグニチュード3.4と測定された最新の地震は、水曜日の午前07:04に島の南端部のすぐ沖合いで記録された。

昨夜の地震活動の増加は、地滑りの危険があるのでラ・フロンテラ自治体の約50名の住民に家を離れる事を勧告する様、スペイン市民保護局を促した。

Canarias7.es によると、更に島の1万の住民を避難させる計画も検討されている。 エル・イエロの数百名が避難する可能性に備えて2つのスペイン軍緊急介入部隊(EMU)が本日の午後に近くのテネリフェ島を出発すると新聞が報じている。

一方、フロンテラとバルベルデを結ぶ島の主要なトンネル(Tunel del Golfo)が閉鎖され、車両は山沿いの道を経由して280平方kmの島を移動する様に強制された。 カビルド・デ・エル・イエロも学校の閉鎖を水曜日に命じた。

楯状火山のイエロは、1973年にデ・ロモ・ネグロ噴気孔からの歴史的な噴火を起こした事が一度ある。 噴火は約1ヶ月続き、溶岩流を生み出した。

カナリア諸島政府は、群発地震の原因を判別する為、今月初めにエル・イエロの詳細な地質調査を開始した。 政府は、前例の無い群発地震が7月中旬に始まって以来最高の警戒状態として、日曜日に火山リスクのレベルを”黄色”に引き上げた。

前例の無い地震活動は7月19日に開始した(この活動は iWeather によって7月26日に最初に報告された)。 2011年9月28日水曜日までに、8200回を越える地震が記録されている。

先週末まで、地震の揺れの大半はマグニチュード1から3の間であった。 しかし、国立地質学研究所(IGN)によると、現在記録されている地震の大半はマグニチュード2から4であり、14-17キロメートルの深さで発生している。

エル・イエロの噴火は「大きな驚きでは無い」と、火山学者のファン・カルロス・カラセドはエル・パイス紙にて示唆した。 「それはカナリア諸島で最も若い島です。そこには地表に向かって上昇するマグマの塊があり、それは地殻ギリギリの所に留まっているのです。そのマグマの塊が地殻を破って噴火を引き起こすかどうか、現時点で我々には解らないのです。」と彼は語った。

エル・イエロの如何なる噴火も”低い爆発の度合い”になりそうだと、IGNのディレクターであるマリア・ホセ・ブランコは語った。 差し迫った噴火は無さそうだと彼は付け加えた。

そうしている間も、エル・イエロ周辺において感じられる頻繁で益々強くなっている地震は、この小さな島の住民と環境客を落ち着かせる事がなさそうである。

群発地震

群発地震は、局所的な地域で比較的短い期間中に連続する多くの地震の発生を観測する事象である。 群発地震の定義に用いられる期間というのは様々であるが、米国地質学研究所(USGS)は数日間、数週間、数ヶ月間続く事があると指摘している。

(以下省略:過去の噴火と地滑りに関する以前の記事と同じ内容なのです)



一般投資家の皆さんがEFSF拡充他の噂を好材料として株/商品を購入している一方、内部事情に精通しているインサイダーの方々は手持ち資産を売却して市場から避難し始めているのですね。経済の好転を期待する人々は善良な心を持っているのかもしれませんが、彼等の愚行はズル賢く悪意に満ちた人々にとっての善行となるのかもしれません。

人の軽重を安易に計る事はできないのでしょうが、発達した大脳を人間という生物種の特徴とするならば、大脳の働きによって相応の比較が可能であると思うのです。個人的には、「知能(思考能力/知識)」と「心(善悪の意識)」という2元的な尺度で大別できるように思うのです。

健やかな育成を願う余り、怪しげな宗教の「行」を強いて我が子の命を奪ってしまった親は、「善」の心を持ちつつも「愚か」なレベルの知能しか持っていなかったと言えるのかもしれません。オレオレ詐欺で金を騙し取られた翁/媼達は、「(子/孫を思う)善」の心を持ちつつも「愚か」であり、金を騙し取った連中は「悪」の心を持ちつつも「(翁/媼達よりは)賢い」知力を持っていたと言えそうです。

現在の金融危機/債務危機を近視眼的な「経済問題」としてのみ眺めてしまうと本質を見誤ってしまうのではないかと思うのですが、このような危機を作り出している側の人々は一般大衆の愚行/愚考(心理)等も見通す賢さや大局的な歴史観を備えているような気がするのです。

次回に続く...



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金融危機の中東への影響

ギリシャ発金融危機の可能性に加え、ギリシャ周辺で騒がれ始めている地政学的な問題について前回の記事の最後尾に補足しましたが、前回引用した Telegraph のコラムの別欄に関連する記事があったのです。



Geopolitical implications of a Greek default: The Greece-Cyprus-Israel nexus
ギリシャ破綻の地政学的な影響:ギリシャ-キプロス-イスラエルの結び付き

ギリシャ破綻の影響として議論されている問題の一つは、それが如何にイスラエルへ影響するかという事だ。 ギリシャの破綻はキプロスの銀行-そのバランスシートはアイスランドと全く同じレベルで(定義にもよるが)キプロスのGDPの600から900パーセントを有する-に破滅的な損失を課す事になるかもしれない。 しかし、より根本的に、ギリシャとの親密な経済的且つ政治的結び付きの中で、もしもギリシャが離脱した時にはキプロスがユーロ(及び欧州連合)に留まり続けるという強い政治的欲求は起きそうに無い。

これは非常に広く知られている事だ。 それ程知られていないのは、如何にイスラエルが最近になってギリシャ及びキプロスと深く関わるようになったかという事である。 2010年のガザ支援船団が頓挫する中での殺害事件を受け、トルコとの緊張へと継がり、そして鍵となっていたエジプトとの同盟関係をアラブの春の騒乱で失い、イスラエルは東地中海の焦点を移動させた-ギリシャ及び特にキプロスとの新たな結び付きを築く事だ。

結婚しようとする世俗的なイスラエル人は、東地中海におけるベガスのような場所として何年もの間キプロスを利用してきた-イスラエル国内には同様の場所が無いので、市民による(悲宗教的な)結婚式はイスラエルで認知されている。 重要な不動産の関係もある。 しかし、更に最近は経済的な結び付きが加速した。

それは、オイルやガスの掘削を含め、特にギリシャ-キプロス-イスラエル排他的経済地域の設立を含んでいる。 実際に、2012年初頭に期待されている掘削の結果は、ユーロ圏の危機において予測不能な事態を引き起こす-イスラエルによる2009年の巨大なタマール・ガス田($600億相当の埋蔵量)の発見は、彼等のエネルギー貿易収支の見通しを大きく転換したのだ。 GDPが$200億程度の経済に過ぎないキプロスがこの規模の発見をする事は大きな変化をもたらすとの憶測もある。 これらの場所の開発は、良く知られているギリシャ、キプロスそしてトルコとの間の緊張によって脅かされている。 しかし、非常に重要な保護機構となるEU内にキプロスが留まっている間は、投資家達と開発者達の自信を深めることとなる。

2011年は、キプロスとイスラエルの間で行きつ戻りつとなる外交的やりとりの混乱があった。 ある程度まで、イスラエルは(周辺国が)殺到する前に取り入ろうと試みた。 シリアとエジプトも又、EUとの橋渡し役としてキプロスを認知した。 ギリシャと共にキプロスがユーロ及びEUを離脱する事は、潜在的に内政的混乱へと継がると共にトルコに対するEUの後ろ盾を確実に失う事となり、これらの駆け引きの進展を不安定なものとするかもしれない。 イスラエルの不動産及び採掘企業にとって更に大きな損失を生む可能性さえあるのだ。

これらの出来事にイスラエルが巻き込まれる事は地政学的に重大な問題となる可能性がある。 イスラエルの景気後退は、シリアの混乱及びエジプトにおける微妙なバランスに対して新たな危険要因を持ち込む事になるかもしれず、イスラエル内での仕事及びイスラエルとの商取引に依存しているパレスチナにとっても更なる不幸を生み出すかもしれないのだ。

舞台裏で、広く議論されている全世界的な金融の継がりと同様に、このような現在の状況に関してワシントンは神経質になるかもしれない(あるいは、多分なるべきである)。



なるほど、強(あなが)ち陰謀論だけとも言えぬような状況がイスラエル周辺で生じつつあるようですね。

チュニジアから始まった「アラブの春」と形容される一連の騒乱は、イスラム的な教義との関連性が少なく、経済的な窮状に耐えかねた民衆(特に若年層)が長年続く同地域の独裁政治体制に反旗を翻した行動であると言えそうです。 一方、パレスチナに対する最近のイスラエルの強硬な政治姿勢は、極右(原理的ユダヤ)思想が同国内で台頭してきたことの左証であると見る人々もいるようです。

古代オリエントの物語
古代オリエントの物語
国家としての現在のイスラエルを統治する白系ユダヤ人(アシュケナジー)達は、古代から同地域に居住してきた本来的なユダヤ民族と(人種としては)異なるのですが、周辺のイスラム系民族との融和を阻んでいるのはユダヤ教の本質でもある選民思想等の影響だと思えるのです。

中東に起源を持つユダヤ教/キリスト教/イスラム教の発展経緯については、各宗教に対する信仰という主観的(又は感情的)な視点を除かねば、現在の複雑な地政学的状況を論理的に分析できないのですね。 私も「古代オリエントの物語」(小山茂樹著)等の各種刊行物を参考としましたが、文化人類学的に考察すると複雑な宗教的対立を生み出してきた人間の行動というのは、とても愚かしいものであると思えるのです。 私は、人知を越える宇宙の真理に対して畏怖の念を持つという謙虚な姿勢こそが重要だと思うので、自然界の精霊を敬うアニミズム(広義には日本の神道も含まれる)のような宗教観は、近年長足の進歩を遂げている量子論や宇宙物理学を探求する事にも通じているように思うのですよ。 でも、宗教/信仰の問題となると僅かな教義の違いに対しても許容性を失なう人々が多いので、(特に日本国外では)言動に注意しなければならないのです。

という訳で、「光よりも早いニュートリノ」や「存在しないヒッグス粒子」というような、従来の物理学の基礎を根底から覆しかねない昨今の話題に関心を持っているのですが、上記のような地政学的状況までも分析し始めると時間的余裕が無くなってしまうのです。

次回に続く・・・



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金鳥の夏/緊張の秋

昨日も欧米の市場では、一時5%を越える程に株価が急落しましたね。NYダウは2日間で$600を越える下落幅となりました。

国連総会に同期して開催されたG20の会合でも、世界経済を覆う暗雲を払拭するような方策は示されませんでした。 債務危機に直面する欧州だけでなく、景気の減速が明確になってきた米国や、拡大基調だった景気に急ブレーキがかかり始めた新興国においても手詰まり状態となっているように感じられます。



Fear gauge enters the red zone
恐怖指標がレッドゾーンに入ってきた


ダメージを限定する為に残されているショック・アブゾーバー(緩衝装置)が僅かな状況で世界経済が2番底に向かって落ち込む中、欧州債務危機のリスクは制御を失う状態に高まりつつある。

信用ストレスの重要な指標として、社債に対する Markit's iTraxx Crossover 指数-又は”恐怖ゲージ”-が木曜日に56ベーシスポイント上昇して857となり、3年前のリーマン・ブラザースの破綻前に見られた危険なレベルに達した。

ソシエテジェネラルは、イタリアとスペインの債務に係る損失へ対処すべく資本増強を必要とするかもしれないという懸念により、パリ市場で9パーセントも下落して銀行株の総崩れを主導した。

取引終盤に欧州中央銀行(ECB)が介入する前、イタリア10年物国債とドイツ国債のスプレッドは新記録となる408ベーシスポイントに達した。 これはLHC Clearnet がマージン(委託保証金率)の引き上げを要求する水準に近く、この要求はギリシャ、ポルトガルそしてアイルランドが救済を求める引き金となったのである。

2パーセント近辺のコア・インフレ率又は連邦議会からの反対を受けて連邦準備制度理事会は決して新たな刺激策を発動しそうも無いのに、彼等が再び量的緩和(QE3)を携えて救済しに来る事を拒否したという事で世界の投資家達は震え上がっているようだ。

全世界的なリスクからの逃避は欧州に最も激しい打撃を与えた。 欧州の当局者達は時間を使い果たしたと、ダンスケ銀行のペーター・ポッシング・アンダーセンは語った。 「金融市場は現在の政策への信頼を失い、経済は景気後退の危機に瀕しています。負のスパイラルを断ち切る為に急進的な行動が必要です。」と彼は語った。

「金融市場のセグメントは機能不全に陥っており、信用へのアクセスは塞がれてしまいました。欧州の政策立案者達は緊急且つ大胆な措置を講ずる必要があります。このような事態が起きるまで、市場は危機に向かってゆっくりだが確実に砕けていったのです。現在の緊縮財政策は、既に危うかった回復の息の根を止める危険を孕んでおり、債務の力学とでも言うべき更に悪い状況を作り出しているのです。」と彼は語った。

ECBが本質的には存続可能なイタリアのような国々から”無制限に”国債を購入すべきである一方、”悪循環”を打ち破る為にギリシャは更に大きな債務救済措置を必要としていると、アンダーセン氏は語った。

最近数週間の厳しい経済指標は”何とかしのいでいた”政策を実行不可能にして弱小国を瀬戸際へ押しやったと、RBSの与信主任であるアンドリュー・ロバーツは語った。 最新のPMI(購買責任者指数)は、9月の製造業の輸出受注が2009年半ば以来最低となる44.8に転落した事を示している。

不吉な事に、中国のPMIデータは、金融危機が深刻だった時よりも更に落ち込んで3ヶ月連続で縮小しつつあるという警告を点滅させており、融資制限が影響し始めた事を示唆している。

「我々は、構造的な落ち込み/不況の中で循環的な新しい下降局面にいるのです。我々はグローバルな協調的金融措置を必要としており、ECBは金利を50ポイント引き下げねばなりません。彼等は7月に金利を引き上げるというひどい間違いを犯したのです。」とロバート氏が語った。

2012年には0.3パーセントという債務の力学によって大混乱となるレベルに急減速すると、IMFはイタリアの成長見通しを引き下げた。 この国は、来年の後半までに€2600億を計上しなければならない。借入れコストが100ポイント上昇する度に財政赤字は€25億増加するのだ。

新興国市場は与信拡大のバッファ(余裕)に近づきつつあり、運営の為に必要な財政的余裕を失いつつあると、IMFが警告した。 中国国内の融資額は、安全なレベルを大きく越えてGDPの173パーセントに上昇したと、彼等は述べている。

IMFは$1.7兆の地方政府債務による”深刻な”損失を恐れており、北京政府がシステムの救済に乗り出さねばならなくなる程にリスクが増大している。 「結果として生じるのは、中国の公的部門債務水準の実質的な悪化であり、将来的な財政刺激策の範囲が狭まる事です。」と彼等は語っている。 中国は(洪水のように)大量の安価な信用の水門を再び開く事で、2回目のグローバルなショックに対応する事はできない。

ECBは最大€2兆までの国債を買い入れると誓約する事で、高まりつつあるユーロ圏の危機を止める力を持っていると、ローマのルイス・ギード大学のジュゼッペ・ラグーザ教授は語った。 「彼等が国債を買う必要はないのです。約束だけで充分なのです。」と彼は語った。

そのように大胆な行動は現れそうにも無い。 世界第3位の規模の-€1.8兆のイタリアの債務をECBが支えるという事で市場を納得させるのに必要となる圧倒的な気迫を見せず、過去6週間に渡って彼等はためらいがちに市場介入していた。

ECBがEU条約の法規を破っていると非難するドイツ大統領のクリスチャン・ウルフ及びドイツ連邦銀行に猛烈に反対されている為、欧州中央銀行は制約されている。

ドイツ連銀はユーロを支える為に8月だけでもバランスシートを€500億拡大したと、ジェフリーズ証券のディビッド・オーウェンは語った。 危機が始まって以来、彼等は流動性供給量を8倍の€4210へ増やし、ECB本体と殆ど同じ規模となっている。

「この地域の債務危機と戦うべく議会が施策法案を通過させているように、ECBは”強固で信頼できる”資金をユーロ圏の銀行と経済へ供給し続けるべきである。」と、IMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルデは木曜日に語った。

「ECBは現在も重要な役割を果たしており、果たす事が可能であり、今後も果たし続ける事を望んでいます。」と彼女は語った。

条約を改正する事無く、このような施策をどこまで推進できるかという事については明らかな限界がある。 さもなくば、財政統合という代案に帰結するのだ。 国債購入と銀行の資本再増強はEUの救済基金から支出しなければならないのだが、それは全ての加盟国内の議会によって今年後半に批准されるまで準備できないのである。 欧州は緊張の秋に直面しているのだ。



景気後退が鮮明になってきた米国では、「Japanization(日本化)」とか「US is following Japan's lost decade(米国は日本の失われた10年を追いかけている)」というような経済関連記事が増えているのです。 しかし、私はそのような分析に納得できないのです。

不動産であれ株式であれ、実際の需要(実需)を無視して加熱する人々の強欲さがバブルという現象を作るのですから、それが崩壊した後には最終需要/有効需要と供給能力の間に大きなギャップが生じてしまうのですね。 日本では、不動産バブル崩壊後にバランスシートを大きく毀損させた金融機関へ政府が資本を注入し、90年代半ばの金融危機をしのぎました。 その後、企業/家計は債務の返済に努めるばかりとなったため、不足する民間需要を政府の財政出動によって補ったのですね。 日銀も、低金利政策に加えて量的緩和という非常手段を導入しましたが、最終需要が低迷し続けていたので銀行の融資額は増えなかったのですよ。

一方、低迷する国内の需要とは対照的に、需要が増えていた海外への輸出が日本経済を(かろうじて)支えてくれたのです。 欧米への直接的な輸出だけで無く、電器製品や衣類等の世界の工場となった中国への基幹部品/製造機器の輸出や、同国の建設ブームに乗じた建設機械等の輸出により、僅かながらも日本の経常黒字は維持されていたのですね。

政府関係者が「第14循環」と呼び、経済誌が「いざなみ景気」とも表現する2002年から2007年までの景気は、このような外需に支えられていたのです。 丁度この時期は、欧米で(現在ではバブルであったと見なされる)不動産ブームが起きていたので、日本経済は何とか生きながらえたのです。

しかし、国内では依然として最終需要が低迷しており、賃金の上昇も無ければ物価の上昇も起こらなかったのですよ。 日銀の緩和政策でマネタリーベースを増やそうとも、インフレは起きなかったのです。 国内の需要が低迷するので、国内の事業を拡大すべく積極的に投資するという企業が少なかったばかりか、激化するグローバルな競争に負けまいと労務コストの圧縮(減給、解雇、採用枠削減)に取り組む企業ばかりだったのです。 伸び悩む賃金や雇用環境の悪化が更なる需要の低迷を招くという悪循環に陥っていたのですね。

高齢化の進展なども需要の低迷に少なからず影響しているのだと思いますが、このような経済の構造的問題を解決せぬまま、橋本政権/小泉政権下で2度も試みた財政規律への取り組みが景気回復の腰を折ってしまったのです。

バブル崩壊後の経済運営の混乱という点では、現在の欧米の状況が以前の日本に類似しているようにも思います。 「積極的な財政出動」を主張する米国と、債務危機へのヒステリックな反動で拙速に進めた「緊縮政策」が更なる景気の悪化を招いた欧州の状況は、上記のような日本の指導者達の混迷を想起させてくれるのです。

上記のように、「失われた10年」と揶揄されていた当時の日本は、辛うじて外需(欧米/新興国のバブル)に支えられていたのです。 現在の欧米の経済危機及び近い将来に発生すると予想されている新興国のバブル崩壊に対しては、それを補う最終需要が地球上に残されていないのですよ。 ですから、当時の日本と現在の欧米の金融危機とでは状況が異なり、全くの手詰まり状態になりつつあるのではないかと思うのです。

2008年の金融危機の後で積極的な金融緩和と財政政策を推進した米国でも最終需要が増加していないので、マネタリーベースは増加したものの金融機関の融資額は増えていないのです。 元々内需の弱い中国等への輸出を当て込んでいたとしても、グローバルな競争の中で米国企業は製造拠点を海外へ移転していた為に雇用だって増えなかったのですよ。


このような閉塞状況の中、「全世界で低迷する最終需要を飛躍的に伸ばす手段として大規模な戦争の企みが進められている」というような陰謀論も飛び交い始めているのです。以前から欧州の債務問題を指摘していた Bob Chapman は、様々な Alternative Media への登場機会を増やしているのですが、最近はこの種の「戦争の陰謀」を主張するようにもなってきたのです。 「ガザへ向かう補給船を攻撃されて以来イスラエルへの反発を強めるトルコに対し、イスラエルとギリシャが手を組んで戦争を始める。」と彼は主張するのですが、根拠は怪しいのです。 トルコもギリシャもNATOに属する為、欧州各国としては何れにも加担せずに戦火の拡大を傍観するとも説明しているのです。


欧米の経済情勢やアラブ地域の政治的混乱が注目を集めがちですが、イスラエルでも急激なインフレで国内情勢が不安定になっているのですね。 インフレの原因の一つが、積極的なパレスチナへの入植政策なのです。 そのパレスチナは、今回の国連総会で「国家」としての承認を求めようとしているのですが、唯一イスラエルを擁護する米国が拒否権を発動させると牽制しているのですね。


自然災害や経済/金融の危機だけでなく、このように世界は地政学的にも不安定な状態となりつつあるように思うのですが、「戦争の企て」のような陰謀論については、国連総会後の情勢を確認した上で考えてみるのです。

次回に続く・・・



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継続する前駆振動

(追記:22日08:45)
昨日も、欧米の金融/商品市場は取引時間中に上下動を繰り返していたようです。 米国東部時間で21日14:15頃に予定されているFOMCの結果報告を控え、様々な思惑が交差しているのでしょうが、このように不安定な状態は各地で観測されている最近の群発地震を連想させてくれます。

という訳で、金融市場に巨大な爆発が起きる事を警戒しつつ、地質学的な活動にも注意を払い続けるのです。



Seismic Activity Increases At Mount Tambora
タンボラ山の地震活動が増加している


Tambora Caldera
インドネシアのスンバワ島のタンボラ火山の状況はレベルIII(Siaga)に引き上げられ、周辺丘陵地に住む多くの住民の低地への避難を強制している。

記録に残っている歴史上で最大規模且つ最悪の噴火を起こしたタンボラ山は、4月に覚醒の兆しを見せ始めた。 しかし8月初旬に、それは20メートル(66フィート)の厚い白煙を空へ噴出した。 地震活動は9月中に大幅に増加し、毎日12回から16回の地震を記録している。

増加した活動による直接的な影響として有毒ガスの恐れがある為、インドネシア当局によって8キロメートルの立ち入り禁止区域が設けられた。

山頂から5-10キロメートル(3-6マイル)にある村や集落で暮らしいる数百世帯は、火山の下の地震が増加した後で移動する事を決断した。 しかし、火山の傾斜地で人生の大半を過ごしてきた幾人かの農民達は、当局からの警告を無視して留まっている。

国家防災庁(BNPB)は又、タンボラ山を囲む3つの地区-ビマ、ドンプーそしてスンバワ-の指導者達と会談した。 パンカシラとドロ・ペットの二つの村は、インドネシア諸島で最高となる4300メートル(14100フィート)の高さにある火山の山頂から5キロメートル(3マイル)以内に位置しているので特に危険である。

1815年4月10日のタンボラの噴火は、少なくとも7万1千人、最大で9万2千人の命を奪った。 概ね1万1千人が噴火によって直接的に命を奪われ、降下した噴出物がこの地域の農作物を台無しにしてしまった事による飢餓及び疫病という余波の中で残る6万人又はそれ以上の人々が命を失った。

1815年の噴火は火山活動指数で7という値だったと推定されているが、この規模の爆発は紀元前180年にニュージーランドのハテペが噴火して以来唯一であり、人類の歴史上でも5度目でしかない。

Tambora 1815 Impact
The explosion of Indonesia’s Tambora volcano in 1815 had an impact on climate worldwide throughout 1816. Credit NASA / SINC

その噴火は、”火山の冬”として知られる現象のように地球規模の甚大な気候の異常を引き起こした。 1816年に欧州と北米は、火山から噴出された塵と硫黄による大規模な作物の不良と19世紀中で最悪の飢饉に苦しみ、それは”夏の無い年”として知られるようになった。

同じ規模の爆発が再び起きる可能性があるものの、1815年以降に発生した3回の噴火は何れもVEI(火山活動指数)で2を越えていないという事から住民達は楽観的であるようだ。

更に、タンボラのある西ヌサ・テンガラ州では、この火山の噴火の200周年記念行事を計画しているのだ。 新たな港の建設も含め、2015年の完成を目指してインフラの整備が州全体で進められている。

インドネシアの火山群は、頻繁に発生する地震や火山噴火で知られる環太平洋火山帯の中でも最も活動的な部類に入る。

インドネシアで最も活動的な活火山の一つが、厚い白煙が噴出したと今月に報告されたジャワ島のメラピ山である。 昨年、10月から11月の間の一連の噴火によって300名以上の人々が命を奪われ、30万人以上の人々が避難する事となったのである。

Tambora Satelite Image

tambora volcano




インドネシアで大きな火山の噴火が発生した場合、マラッカ海峡を通過する船舶の航行にも少なからぬ影響が生じて中東からの原油の輸送等が滞る事も心配ですね。 一方、ニューヨークのウォール街又はロンドンのシティで金融市場が爆発した場合には、世界中でお金の流れが滞ってしまうのです。 こちらも心配なのです。

次回に続く・・・

追記
Tambora SW Earthquake
September 21, 2011 – Sumbawa, INDONESIA –A 5.1 magnitude earthquake has struck the subduction plate of the ocean crust southwest of where the Mount Tambora volcano is located. According to the USGS, the earthquake had a depth of 44 km (27 miles) and the epicenter was 168 km (104 miles) SW of Bima, Sumbawa, Indonesia. Seismic tension and volcanic activity have escalated around Indonesia in the past month as volatility in the south Pacific Ring of Fire continues to build.

タンボラ火山が位置する場所から南西方向の、大洋の地殻プレートが沈み込む地点でマグニチュード5.1の地震が発生した。 米国地質学研究所(USGS)によると、地震は44km(27マイル)の深さで発生し、震源地はインドネシア・スンバワ・ビマの南西168km(104マイル)の地点であった。 先月から環太平洋火山帯の南側におけ不安定性が高まる中で、インドネシア周辺における地震の緊張と火山活動が増加している。



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