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金融危機の中東への影響

ギリシャ発金融危機の可能性に加え、ギリシャ周辺で騒がれ始めている地政学的な問題について前回の記事の最後尾に補足しましたが、前回引用した Telegraph のコラムの別欄に関連する記事があったのです。



Geopolitical implications of a Greek default: The Greece-Cyprus-Israel nexus
ギリシャ破綻の地政学的な影響:ギリシャ-キプロス-イスラエルの結び付き

ギリシャ破綻の影響として議論されている問題の一つは、それが如何にイスラエルへ影響するかという事だ。 ギリシャの破綻はキプロスの銀行-そのバランスシートはアイスランドと全く同じレベルで(定義にもよるが)キプロスのGDPの600から900パーセントを有する-に破滅的な損失を課す事になるかもしれない。 しかし、より根本的に、ギリシャとの親密な経済的且つ政治的結び付きの中で、もしもギリシャが離脱した時にはキプロスがユーロ(及び欧州連合)に留まり続けるという強い政治的欲求は起きそうに無い。

これは非常に広く知られている事だ。 それ程知られていないのは、如何にイスラエルが最近になってギリシャ及びキプロスと深く関わるようになったかという事である。 2010年のガザ支援船団が頓挫する中での殺害事件を受け、トルコとの緊張へと継がり、そして鍵となっていたエジプトとの同盟関係をアラブの春の騒乱で失い、イスラエルは東地中海の焦点を移動させた-ギリシャ及び特にキプロスとの新たな結び付きを築く事だ。

結婚しようとする世俗的なイスラエル人は、東地中海におけるベガスのような場所として何年もの間キプロスを利用してきた-イスラエル国内には同様の場所が無いので、市民による(悲宗教的な)結婚式はイスラエルで認知されている。 重要な不動産の関係もある。 しかし、更に最近は経済的な結び付きが加速した。

それは、オイルやガスの掘削を含め、特にギリシャ-キプロス-イスラエル排他的経済地域の設立を含んでいる。 実際に、2012年初頭に期待されている掘削の結果は、ユーロ圏の危機において予測不能な事態を引き起こす-イスラエルによる2009年の巨大なタマール・ガス田($600億相当の埋蔵量)の発見は、彼等のエネルギー貿易収支の見通しを大きく転換したのだ。 GDPが$200億程度の経済に過ぎないキプロスがこの規模の発見をする事は大きな変化をもたらすとの憶測もある。 これらの場所の開発は、良く知られているギリシャ、キプロスそしてトルコとの間の緊張によって脅かされている。 しかし、非常に重要な保護機構となるEU内にキプロスが留まっている間は、投資家達と開発者達の自信を深めることとなる。

2011年は、キプロスとイスラエルの間で行きつ戻りつとなる外交的やりとりの混乱があった。 ある程度まで、イスラエルは(周辺国が)殺到する前に取り入ろうと試みた。 シリアとエジプトも又、EUとの橋渡し役としてキプロスを認知した。 ギリシャと共にキプロスがユーロ及びEUを離脱する事は、潜在的に内政的混乱へと継がると共にトルコに対するEUの後ろ盾を確実に失う事となり、これらの駆け引きの進展を不安定なものとするかもしれない。 イスラエルの不動産及び採掘企業にとって更に大きな損失を生む可能性さえあるのだ。

これらの出来事にイスラエルが巻き込まれる事は地政学的に重大な問題となる可能性がある。 イスラエルの景気後退は、シリアの混乱及びエジプトにおける微妙なバランスに対して新たな危険要因を持ち込む事になるかもしれず、イスラエル内での仕事及びイスラエルとの商取引に依存しているパレスチナにとっても更なる不幸を生み出すかもしれないのだ。

舞台裏で、広く議論されている全世界的な金融の継がりと同様に、このような現在の状況に関してワシントンは神経質になるかもしれない(あるいは、多分なるべきである)。



なるほど、強(あなが)ち陰謀論だけとも言えぬような状況がイスラエル周辺で生じつつあるようですね。

チュニジアから始まった「アラブの春」と形容される一連の騒乱は、イスラム的な教義との関連性が少なく、経済的な窮状に耐えかねた民衆(特に若年層)が長年続く同地域の独裁政治体制に反旗を翻した行動であると言えそうです。 一方、パレスチナに対する最近のイスラエルの強硬な政治姿勢は、極右(原理的ユダヤ)思想が同国内で台頭してきたことの左証であると見る人々もいるようです。

古代オリエントの物語
古代オリエントの物語
国家としての現在のイスラエルを統治する白系ユダヤ人(アシュケナジー)達は、古代から同地域に居住してきた本来的なユダヤ民族と(人種としては)異なるのですが、周辺のイスラム系民族との融和を阻んでいるのはユダヤ教の本質でもある選民思想等の影響だと思えるのです。

中東に起源を持つユダヤ教/キリスト教/イスラム教の発展経緯については、各宗教に対する信仰という主観的(又は感情的)な視点を除かねば、現在の複雑な地政学的状況を論理的に分析できないのですね。 私も「古代オリエントの物語」(小山茂樹著)等の各種刊行物を参考としましたが、文化人類学的に考察すると複雑な宗教的対立を生み出してきた人間の行動というのは、とても愚かしいものであると思えるのです。 私は、人知を越える宇宙の真理に対して畏怖の念を持つという謙虚な姿勢こそが重要だと思うので、自然界の精霊を敬うアニミズム(広義には日本の神道も含まれる)のような宗教観は、近年長足の進歩を遂げている量子論や宇宙物理学を探求する事にも通じているように思うのですよ。 でも、宗教/信仰の問題となると僅かな教義の違いに対しても許容性を失なう人々が多いので、(特に日本国外では)言動に注意しなければならないのです。

という訳で、「光よりも早いニュートリノ」や「存在しないヒッグス粒子」というような、従来の物理学の基礎を根底から覆しかねない昨今の話題に関心を持っているのですが、上記のような地政学的状況までも分析し始めると時間的余裕が無くなってしまうのです。

次回に続く・・・



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