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不法占拠の正当性

エコノミストの方々は、対 GDP 比債務水準や失業率等の「マクロ」的な指標を基にして経済の状況を様々に解説してくれるのですが、一般的な市民の現実的な苦境に関する「ミクロ」的な考察に欠ける事が少なく無いと思うのです。

何時の時代でも、社会的混乱を引き起こすのは「ミクロ」的な一般市民の不満の蓄積だと思うのです。




Spain’s New Squatters
スペインの新たな不法占拠者達

マラガ、スペイン、7月28日(IPS)- 失業によって住宅ローンの支払いができなくなった為に住宅を追い出された家族達により占拠された、このスペイン南部にあるビルの中のコミュニティである「コララ」の前を、ある女性が通りかかった時、「貴方は無料で暮らす事ができるのです、そうしませんか?」と彼女は訊ねられた。

「私達は如何なる施しも欲しくは無いのよ。 社会的な家賃の体系を通じて、私達だって支払いたいの」と、ラ・トリニダード近隣のマラガ中心にあるこの4階建ての集合住宅内の広々とした13戸のアパートの中で他の40人程の人々が一緒のシェルターを見つける前にはテントで暮らしていた、42歳のユリ・ファハルドは答えた。

2007年に経済及び金融の危機が勃発して以来、ホームレス家族による銀行や不動産仲介業者達が所有する空きビルの占拠はスペイン全土に拡大したのだ。

しかし、集団的な現象として、不法占拠の波は、セビリアの近くの街にある、40人の子供を含む約100名の人々によって2012年5月以降占拠された銀行所有の36のアパート群、コララ・ユートピア、から始まったと、セビリア州にある15-M(5月15日「indignados(インディグナドス=indignant=憤慨)」- スペインの占拠ムーブメント)住宅委員会のフアンホ・ガルシアが IPS に語った。

16世紀から19世紀にマドリッドや他のスペインの都市で労働者階級の間に浸透した、その名前を冠する共同の中庭やサービスが付帯する典型的なビルのコンセプトと同様の、コミュニティであり近隣の共同体を表す「コララス」と彼等は自分達を呼んでいる。

新しい不法占拠のコミュニティは、15-M、住宅ローン被害者の為のプラットフォーム(PAH)そしてストップ立ち退き(Stop Desahucios)の様な社会運動からの支援や助言を受けている。

住宅総数の14パーセントに近い - 4千7百万人の同国内には350万程の空家が主として銀行の手中にあると、国立統計院(INE)が報告した。 PAH によって1月に発表された報告によると、2008年から2012年の間の住宅ローンの滞納や差し押さえにより、合計で363,000件の立ち退きがあったという事である。

20歳のヤニラと彼女の18歳になるボーイフレンドのホセは、彼女達が仕事を失ってマラガにある4つのコララの一つであるブエナヴェンチュラへ逃れてくる前まで家を借りていた。

11歳の娘を持つモンセも、職を失って住宅に支払う余裕がなくなった。 同コミュニティに最も新しく加わったマカレナは、彼女の「アルコール依存症の父親が私達を路上へ放り出した」後、彼女の二人の子供達と一階に住んでいる。

「他の選択肢があるならば、俺達が此処にいると思うか?」と、ビルを所有する銀行との公的な賃貸に関する交渉が失敗した事を悔やんでいるファハルドは質問し、マラガ裁判所によるとコララが10月3日に退去させられる予定だと述べている。

ブエナヴェンチュラは、銀行によって民間投資家へ売却されたところだと、弁護士のホセ・カジンは IPS に語った・

「俺達は、社会から取り残され、貧しく社会的に疎外された人々が上手くやっていく為の機会を求めたんだよ。 俺達は、俺達の皮膚に付けられた焼印の様に汚名を背負っていて、そいつによって俺達は判別されているのさ」と、「まともな住居を得る事は人権だよ」と付け加えながらファハルトは語った。

ガルシアによると、問題の根本は5年前の不動産バブルの崩壊に先立つ建設ブームの期間の「住居を得る権利の商品化」である。

現在、数千の空き家と、失業したままである為に住宅ローンの支払いができなくなった数千のホームレスの人々が存在しているのだ。 今年第2四半期に関する INE の数字によると、失業率は26.3パーセントである。

セビリアでは、10の空き家状態の建物が15-Mの助言を受けた家族達によって占拠されている。 不法占拠者は、失業者であり、建設業の様に不安定な職に就いている者であり、親の家を離れた高い教育水準を持つ若者であり、又は65歳を超える高齢者であるとガルシアが語った。

子供を抱える9人のシングル・マザー達によって4月から占拠されているマラガ近隣のラ・ゴレタにある不動産会社所有の新しいビル内のラス・ルハドラスというコララのメンバーの一人、28歳のリディア・ニエトが「私達は、自分の子供達の頭上の屋根の為に闘っているのよ」と語った。

ニエトは、彼女の8歳の息子エライとアパートメント区画の1階に住んでいる。 彼女は、会社や事務所を清掃する週末の仕事を持っている。

「私達はこの空の建物を見て、占拠する事に決めたの」と、「傷んでいる為に売り物にならない」という理由で近くの店で捨てられた野菜を刻みながら彼女は IPS に語った。 嘗て彼女は、彼女の姉妹の一人及び両親と一緒に暮らしていたのだ。

「私は子供達と一緒に路上生活までしたのよ。 もし適当な仕事を持っていたら、此処に住んでいると思う?。 私は2年前から失業しているのよ」と彼女は語った。

「集団的な占拠は全く合法的であり、現実的且つ道徳的な理由に基づいている」と、マラガの集会で、セビリア M-15 住宅委員会のイヴァン・ディアスは語った。

新しいコララの不法占拠者達は、ユーティリティに支払う事が可能なので電気と水の供給を要求している。

コララ・ブエナヴェンチュラの隣に住むマリアは、不法占拠者達と良好な関係にあると IPS に語った。 しかし近くの果物屋の業者は、一部の近隣住民が夜間の騒音に関して苦情を言うのを耳にしたと語った。

マラガ市政府は、7月18日にブエナヴェンチュラの水道を停止した。 シティ・ホールの外側で家族達が一晩中キャンプを行って抗議した後、その翌日に当局者達は水の供給を再び開始したのだ。

マラガ及びセビリアが置かれているアンダルシア自治州の政府は、公的住宅の備蓄の必要性を確立する為の、住宅に関する公的機能の法令を4月12日に承認した。

地域の法律は又、「社会的な排斥のリスクや、個人の肉体的又は精神的健康状態への脅威がある場合」、差し迫った立ち退きに直面している家族へ一時的に - 3年という期間 - 住宅を提供するのである。

違憲の疑いがあるとの主張に立脚する右派のマリアーノ・ラホイ首相の政府が7月に上訴した、その措置は、「3ヶ月間で僅か12家族に」恩恵をもたらしたのだと、それが「構造的欠陥及び本質的欠陥」に悩まされて遥かに不足した結果になったと語ったガルシアは不満を述べた。

7月10日のレポートによると、- 欧州連合の幹部機構である - 欧州委員会及び欧州中央銀行は、スペイン国内の銀行セクターの安定性及び経済回復を損なう可能性があると主張し、アンダルシアの反立ち退き条例を批判したのである。




食糧やエネルギーの入手に窮した市民によって引き起こされた「アラブの春」運動は、イスラエルとの友好関係を維持するという親米路線を採り続けてきたエジプトのムバラク体制をも崩壊させました。 しかし、その後の「民主的な」選挙で選ばれたモルシ大統領/ムスリム同胞団政権も、親米路線の旨味を忘れられない軍部主導のクーデターによって失脚させられてしまいました。

非合法な形で樹立した政権を容認しないというのが建前なので、米国政府はエジプトの政変に関して「クーデター(coup)」という言葉を決して用いないのです。

ムスリム同胞団の活動を押さえつけ始めると同時に、エジプト軍はガザ地区への支援物資補給路(エジプト-ガザ間のトンネル)を封鎖してしまった為、ガザ地区に居住するパレスチナの人々は再び困窮しているのですが、米国政府に遠慮する国際世論は、長年続くイスラエルの「不法占拠」を非難しようとしないのです。

斯(か)くして、為政者達の詭弁による「ミクロ」的な不条理が継続するのでしょう。 「ミクロ」の蓄積が臨界点を超えて爆発するまで。


次回に続く...



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次なる衝撃への警鐘

「今後18ヶ月以内に日本国債は暴落するだろう」と、18ヶ月以上も前から主張し続けてきたカイル・バスの様に、2008年の世界金融危機の後で次の危機が直ぐにでも発生するかの様な予測が様々な(怪しい)人々によって主張されてきました。

その一方、「次の危機が直ちに発生する事は無い」という具合に穏当な分析を行ってきた GEAB/LEAP2020 が、かなり差し迫った危機に関する予測記事を発表したのです。



GEAB N°76 is available! Alert for the second half of 2013 – Global systemic crisis II: second devastating explosion/social outburst on a worldwide scale
GEAB No. 76が参照可能! 2013年下半期の警報 - グローバルなシステミック危機II:世界的な規模での第二の壊滅的な爆発/社会の爆発

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2008年のショックは確かに暴力的であったが、システム、国家そして中央銀行の前例の無い規模での救済を伴う彼等の反応は、最悪の結果を上手く隠した:西欧全般における、特に米国の格下げ、強制的な経済の一掃、人工的な生活水準からの大幅な落下、大量の失業、社会不安の始まり...は、流動性を銀行システム及び株式市場へ振り向けるという無責任な政策によって生かされ続けた期待が味方して、部分的に無視されてきたのである。 悲しい事に、世界が自らを引きずり降ろした一方で、全世界的な問題は焦点とされなかったのだ...失われた5年である:その構造物は危機前より弱体化してさえおり;自らの傷を覆い隠す為の時間を上手く稼ぐべく誰もが放任した、FRB が統御する米国の「解決策」は、彼等自身に着火する事となる火にガソリンを撒いて来たのだ。 だから、彼等の忠実な、そしてもう一度世界の状態を再燃させつつある日本人と英国人の荷車と一緒に、以前は世界の柱であった米国が倒れるのを依然として拒んでいるのも驚きでは無いのである。 そして今回、我々は破綻している国々が事態を救う事に頼るべきではない:2008年の最初のショックを受け、彼等は折崩れているのだ。 従って、実際に、再び米国によって引き起こされる第2の世界危機が不気味に迫っているのである。 最終的に、この5年間は、我々が「危機の2乗」と呼ぶ、より大きなものでさえある危機へと立ち戻っていく事以外の何物でもなかったという事になるであろう。

記事全文の構成:

1.今や制御不能となった状況
2.第2の米国の危機
3.第2のショックの影響
4.異なるプレーヤー達の戦略
5.国際機関の破綻
6.緊急提言

本告知は、セクション1及び2を含む。

今や制御不能となった状況

依然として最後に残っている楽観主義を盲目にさせている幻想は、消滅の過程にある。 前回の版の GEAB で、我々は既に世界経済の残酷な姿を描き出した。 それ以降、事態は悪化したのである。 オーストラリア(2)と同様に中国の経済が減速している事は確認され(1)、新興国の通貨は分断しつつあり(3)、債権の利率は上昇中で、英国における給与は下落し続け(4)、暴動はトルコや平和なスウェーデンにさえ影響を与えており(5)、ユーロ圏は景気後退のままであり(6)、もはや合衆国から流れ出てくるニュースは愉快なもので無い(7)...

もはや次の記録が何時であるかを知る事では無く、(皆が出口に向かって)殺到するよりも十分に前もって上手く退出するかという事が問題となっている全ての金融市場において、今や神経質な状態が明白なのである。 5%以上の損失が3度あった週に日経は20%以上下落したのだ。 そして今や感染は、株式市場、金利、そして...依然として中央銀行によって管理されている最後の砦である為替レートの様な「標準」的な指標に及んでおり、それ故に、我々のチームが繰り返し説明した様に、完全に歪められたのである。

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Nikkei 225 Index, 02/11/2012-13/06/2013. The dizzy rise is due to the BoJ's plan, the dizzy fall to current uncertainties Source : Les Échos.

日本において、この様な状況は中央銀行によって実施された過剰な大きさの量的緩和プログラムの結果である。 円の下落は輸入品(特に原油)の価格に大きなインフレ効果をもたらした。 日本の株式市場及び通貨における大きな反転は全世界の金融を不安定にしている。 しかし、日本銀行のプログラムの導入は未だ始まったばかりである為、その効果は依然として FRB の量的緩和のそれに比べそれ程顕著では無い。 米国における不動産(8)、過去最高記録となる株式市場、新興国におけるバブル及び不安定化(9)、他という様な:現在のバブルに対して主に責任があるのは FRB である。

それのおかげなのか、又はそれのせいなのか、仮想的な経済は更なる強ささえ備えて再び進行したのであり、必要とされる調整は行われなかったのだ。 同じ手法は同じ効果(10)を生み出しており、増大した経済の仮想化は我々を、再び米国に責任のある、5年間で2度目の危機へと導いているのだ。 中央銀行が無限に無限に世界経済を保持する事はできないのだ;この瞬間にも、彼等はコントロールを失いつつあるのだ。

第2の米国の危機

メディアによる大げさな報道の中で、ユーロ圏の筋の通った緊縮策の手法に対する米国-英国-日本の(軽度に実施するという)金融緩和の手法を4月‐5月が受け入れた様に見える場合、現在までの数週間、全ての金融のチャンピオン達は勝利を主張する事がちょっと難しかったのである。 欧州における景気の減速を怖れた IMF は、欧州の人々に支出の継続を余儀無くさせる為に他の何をすべきかという事を知らず、再び赤字を爆発させているのだ:世界は、ブティックに客がいない状況においてさえ、それが依然として営業しているとの印象を与え続けねばならず、そのゲームを欧州は演じていないのである。

しかし、日本、合衆国そして英国における中央銀行の業務の有害な影響は、日本、米国そして英国における回復を容認するとの想定で、「他の手法」の成功を躍起になって売り込む主張(又は、寧ろプロパガンダ)を打ち破っているのだ(ついでながら、後者は決して言及されなかった)。

構造的に自らを改革する能力を持たない合衆国及び英国は、2008年の危機に繋がったこれら以外の手法を採用できなかったという事に、もしも世界が気付いていたならば、現在進展中の第2の危機は回避できたかもしれない。 GEAB No. 28(2008年10月)が示唆した様に、無責任な「大き過ぎて潰せない」銀行と同じく「体系的に」無責任な国々は、2009年から監督下に置かれるべきだったのである。 残念な事に、全世界を統治する機関は、危機を管理する上で全く影響力を持っておらず無力であるという事を証明したのだ。 地域的な良識が存在しただけなのである;国際的な舞台は何も生み出しておらず、誰もが自分の問題を世界の中の自分達の場所で解決し始めたのだ。

LEAP/E2020チームが焦点を当て、2009年以来提唱してきた(11)他の重要な改革は、完全に国際的な金融システムへ目を向けている。 40年間の米国の貿易赤字及と、国際的な金融システムにとっての柱となる同国の通貨ドルの変動性は、全ての合衆国の風邪を世界の他の国々へ伝搬させる媒体であったのだが、もはや合衆国は風邪では無く腺ペストに苦しんでいるのでいるのだから、この不安定化している柱が現在の全世界的な問題の中心に位置しているのだ。

2009年の国際的な金融システムが改革される事無く、第2の危機がやって来ている。 それが、9月のG20(12)にて国際的金融システムの改革の新たな機会を与える中で、その時までに発生して、この議題への合意を余儀無くさせる事になるショックを期待するのだが、さもなくば、全員の支持を得るには首脳会議(の開催)が早過ぎるものになるというリスクがある。



顧客宛レターの中で、ジム・シンクレアが GEAB/LEAP2020 の分析内容を引用しつつ警鐘を鳴らしていたのです。(2013 Crisis To Trump 2008) しかし、GEAB/LEAP2020はフランス系のシンク・タンクなので、ヘンテコな構文の英語に翻訳された記事を読むのはチョット苦労するのです。

上の文章の末尾を要約すると、以下の様な事を主張しているのです;

・第2の金融危機が差し迫っている。
・第2の金融危機により、9月のG20会議で現在の国際金融システムの抜本的な改革を協議せざるを得なくなる。
・第2の金融危機が直ぐに発生しなかった場合、9月のG20会議の開催が早過ぎたという事になる。

「新しい国際金融システム」というのは、陰謀論を好む方々が以前から主張している「新世界秩序」というものに似ているようにも感じますね。 GEAB も陰謀論に与する様になったのか、それとも、長引く閉塞状況に対して諦観し始めたフランス人特有のニヒリズムなのでしょうか?。


次回に続く...



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成果の曲解


ロイター より
甘利再生相「物価目標に向かって上昇」、CPIプラス浮上で
[東京 26日 ロイター] - 6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年比プラス0.4%と、1年2カ月ぶりに上昇したことについて、経済閣僚からは「日銀の物価目標に向かって緩やかに上昇を始めている」(甘利明経済再生担当相)、「デフレ状況は緩和しつつある」(菅義偉官房長官)など前向きな受け止めが聞かれた。

ただ、食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く指数はまだ前年比マイナス0.2%であり、政府は、引き続き動向を注視していく構えだ。

(強調追加)

上の記事中で強調した部分に関連する愉快な揶揄を Tyler Durden が引用してくれたのです。



Japan Food And Energy Prices Rise; All Others Drop
日本の食糧とエネルギーの価格が上昇:他の全ては下落


Ah, economists. As Seth Klarman observed:
(あぁ、エコノミスト共よ、セス・クラーマンはちゃんと見てたぜ:)
"One day a physicist, a biologist, and an economist were sitting at a café across from an apparently empty building. They watch two people enter and then, later, three leave. The physicist says, "Apparently there was some error with our measurements," while the biologist says, "Obviously, they reproduced while in the building." Then the economist observes, "If another person were to enter the building, it would once again be empty."

「ある日、明らかに空であるビルの向かいのカフェに、物理学者、生物学者、そして経済学者が座っていた。 彼等は、二人の人間がビルに入り、その後に三人が出てくるのを見た。 物理学者は言う、「明らかに、我々の計測には何らかの間違いがある。」 一方、生物学者は言う、「当然、ビルの中にいる間に彼等は再生産したのだ。」 そして経済学者は観察した、「もし他の一人がビルに入れば、それはもう一度空になるだろう。」




Seth Klarman や Tyler Durden の様なセンスまでを期待しませんが、如何にナンセンスであろうとも全ての事象を自らに都合良く解釈する為政者達に対し、我が国の大手馬鹿メディアの方々も少しは真っ当な批評を行って欲しいものです。


次回に続く...



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もう少し待って

英語の”taper”とは、「少しずつ削減する/先細らせる」という意味であり、日本でも金属の旋盤作業や木材の切削作業等において素材を円錐形状に加工する事を「テーパー」と呼ぶのです。 最近の経済関連記事では、FRB による”taper”を「QEの縮小」と表す文章を目にする事が少なくありませんが、円錐形状を想起させる微妙なニュアンスを適切には表現していない様に感じるのです。 「段階的縮小」や「漸減」等と表しても良いのでしょうが、どうも円錐形状を連想し難いのです。

仕方が無いので、私は「先細り」という動名詞表現を用いているのです。 「先細る」という自動詞の名詞形というのも本当は不適切なのですが、「先細らせる」という他動詞形を強引に名刺化すると「先細らせ」となってしまい、益々不自然な訳語になってしまうのです。

やはり仕方が無いので、「先細り」という表現を用いるのです。



IMF fears Fed tapering could 'reignite' euro debt crisis
FRB の先細りがユーロ債務危機を「再燃させる」可能性がある事を IMF は恐れている


米国の連銀による先細りはユーロ圏の債務危機を再燃させ、最も弱い国々を「債務デフレのスパイラル」へと押しやるリスクを持つと、国際通貨基金が警告した。

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Early tapering by the Fed "could lead to additional, and unhelpful pro-cyclical increases in borrowing costs within the euro area", the IMF said

「マクロ経済環境は悪化し続けている」と、同基金は彼等の年次文書IVのユーロ圏の健康診断の中で述べた。

「回復は覚束ないままである。 成長は更に弱くなったが、失業率は依然として上昇しており、長引く停滞及び目標を下回るインフレのリスクは高い。 積み上がりつつある社会的且つ政治的な緊張が、改革の勢いに対して増大する脅威を創り出している。」

米国における新たな引き締めサイクルが既にユーロ圏への大きな余波に繋がっており、債権利回りを軒並み押し上げていると、同報告書は警告した。

FRB による早期の先細りは「追加的で、助けとはならない、ユーロ圏内の借り入れコストの循環指向の増加を引き起こすかもしれない。 これは更に、金融政策の導入を複雑なものとし、地域全体の需要と成長へ潜在的なダメージを与える可能性がある。 金融市場のストレスも即座に再燃する」と、同報告書は述べた。

「悪循環が始まる事」を防ぐ為に、理想的には金利の引き下げ、マイナス預金金利の導入、そして特定領域の民間資産の購入によって、欧州中央銀行は対抗措置を講じる必要があると、同基金は述べた。

如何なる資金を調達するのにも非常に苦労している小規模企業を抱え、企業にとっての借り入れコストがドイツにおけるそれよりも200から300ベーシス・ポイント高いスペイン、イタリア、そしてポルトガルで深刻化している貸し出しの逼迫を緩和すべく、彼等は「信用緩和」政策を立ち上げるべきである。 米国において FRB が引き締めを強める程、これを欧州の当局者達は他の形の刺激策で相殺する事が必要になると、IMF は述べたのだ。

同報告書は、民間部門への融資が5月に€330億、そして4月に€280億落ち込んだ後で6月に€460億縮小した事を示す ECB からの新たなデータとして発表されたのである。 縮小の年率は1.6%へ加速したのだ。

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年率の伸びが2.3%へ低下し、広義のM3マネー・サプライも尻すぼみになっている。 2012年10月以来、殆どM3の伸びが無いのだ。

マネーのデータは、一年程度先の経済に対する早期警戒指標として機能する傾向があり、それ故に危機は終わったという最近のEUの指導者達の主張に疑問を投げかけるのである。

「本日の数字は、初期の回復の強さに対して深刻な疑問符を付けるのです」と、ING のマーティン・ファン・フリートは語った。 そのデータは、工業生産高及び製造業に関して上昇している PMI の調査指標における最近の反発と相反している。

2012年と同じく、今年ユーロ圏の経済は0.6%縮小すると IMF は述べた。 来年には0.9%成長する事が期待されているが、これは失業率を弱めるには不十分となるであろうし、新たな世界的危機によって簡単にコースから投げ出されてしまうかもしれない。

「特に周辺諸国において、停滞のリスクがある。 その様な結果は、周辺諸国を債務デフレのスパイラルへ押しやる可能性がある」と、彼等は述べた。

同報告書は、初期の頃の欧州通貨同盟の途方も無い与信ブームを巻き戻すには数年を要するかもしれないと述べている。 「歴史的に、殆ど全ての家計債務の積み上げは反転する傾向がある。 しかしユーロ圏においては債務対 GDP 比の低下が漸く始まったばかりであり、ブームはもっと顕著だったのである。」

政府、家計、そして企業の全てが同時に行なう3重のレバレッジ解消という気の滅入る様な課題を欧州通貨同盟の周辺諸国が抱えている事を付け加えながら、「更に、過去のレバレッジ解消の例では、高いインフレと成長によって債務の反転が促進されたのであり、拡張的な財政政策でサポートされたのである。 これらの要因はユーロ圏周辺諸国において進行中のレバレッジ解消プロセスへあまり寄与しない為、その調整は長引く可能性があり、名目上の債務の削減に多くを頼らざるを得ない。 歴史との対照は、企業債務においても同様であると考えられる」と、同基金は述べたのだ。

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適切な銀行同盟からの誓約及び「負担の共有に関する迅速な決定」の能力を持つ基金の決意をユーロ圏が提供する事こそ重要であると、同基金は述べた。

語調は丁寧であるものの、その著者は「不完全な、又は停止した政策のコミットメント」及び果てし無い様に見える欧州通貨同盟の指導者達による無い対応の遅さに憤慨しているようである。

「共通の合意に達するためのハードルは常に高い。 その上、特に彼等が負担の共有又は国によるコントロール機能の移譲という様に厄介な問題を含める時、そのような決定に対する政治的支援を確立するには相当な時間を要する。 従って、銀行同盟を仕上げる作業の迅速な進展及び拡大的財政統合へ向かう動きが非常に困難であると証明されるのである。」

コメントの中で明らかにドイツ及び重要な債権大国群を指しながら、「制度改革への揺るぎ無い政治的支援は依然として重要であり、全ての欧州通貨同盟加盟国の利益である」と IMF は述べたのだ。



先のG20会議でも、中国他の新興国から「拙速に taper しないでちょうだい」と要請され、バーナンキ議長としても増々厳しい状況に置かれているのでしょう。 過去に実施した分も含め、QEと呼ばれる緩和政策が実体経済の回復に殆ど寄与していないという事を FRB 内部の人々も認め始めていますし、過剰なマネーが流れ込んでいる株式等の資産市場がバブル的な状態になりつつある事も懸念され始めていますからね。

そして何より、既に後任の FRB 総裁人事についても様々な噂が飛び交い始め、バーナンキ議長の影響力自体が「先細り」始めているのかもしれませんからね。


次回に続く...



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ツケは国民に

(追記26日18:10)
前回の稿(「日本人が論じない日本」)でも、我が国の根深い構造的課題に関する議論が一向に進まぬ現状について考察してみました。 社会全体の思考が停止している間にも、事態は悪化し続けるのです。

日経新聞 より
1~6月期の貿易収支、4兆8438億円の赤字 上期では過去最大

 財務省が24日発表した貿易統計(速報、通関ベース)によると、1~6月期の貿易収支は4兆8438億円の赤字だった。上期ベースでは3年連続の貿易赤字。赤字額は前年同期(2兆9168億円)を上回り、比較可能な79年以降で最大だった。液化天然ガス(LNG)など高水準のエネルギー輸入が影響した。

 輸出額は前年同期比4.2%増の33兆9574億円、輸入額は9.2%増の38兆8012億円だった。



The Systematic, Unrelenting Deterioration Of Japan’s Trade
体系的で、容赦の無い日本の貿易の悪化


マネーを印刷し、インフレを押し上げ、円を切り下げ、資産バブルを引き起こし、そして更に多くの政府債務さえ積み上げるという、日本の安倍晋三首相の総力的な努力 - アベノミクスと呼ばれる流行りの宗教 - は実を結びつつある。 しかし、第一の目的である、実体経済を押し上げる為の貿易黒字の創出は無残にも失敗しているのだ。

6月に輸出は7.4%増加したのだが、輸入は11.8%急増し、貿易の収支は2012年6月の黒字から¥1800億($18億)の赤字へと反転したのである。 米国の基準では、それは大きな事である:統計上のノイズの中で消えてしまう程に小さな赤字なのだ。 我々は、1990年代初頭に無制限なオフショアのブームが本格的に始まった時以来この様に良い数字を見た事が無いので、歓喜するであろう。 しかし、貿易黒字に依存する様になってしまった経済国にとって - 日本の6月の赤字は恐ろしい傾向を確認させるものなのだ。

たった2度だけであった2012年における黒字の月の一つである、同年の6月に、日本は¥603億の黒字を計上した。 2011年中の5度の黒字の月の一つである同年6月に、日本は¥693億の黒字を計上した。 その頃までに、原子炉の停止が既に始まっていたのである。 停止前の2010年6月、貿易黒字は¥6700億であった。 大きな貿易の変調が起きた金融危機の間でさえ、日本は6月に貿易黒字を計上したのである。 1979年にデータ系列が始まって以降、日本はいつも6月に貿易黒字を計上したのである。

そして2013年の6月は、日本が貿易赤字を計上した近年において初めての6月となったのだ。 それは、もう一つの記録でもある:それは、連続12ヶ月目の貿易赤字だったのだ。 そして別の記録:2013年上期における貿易赤字は前年の同時期から70%急増し、¥4.8兆となったのである!。

日本は新たな未開拓地へ踏み込んだのだ。 6月はこれまでで最悪の6月であり、5月はこれまでで最悪の5月であり、4月はこれまでで最悪の4月であり...。 その悪化は体系的なものであり、容赦無く、そして激烈なものであったのだ。 2011年に遡るチャートは、2012年の同月に比べて如何に2013年の各月における貿易赤字が悪化したかという事を;そして2011年の同月に比べて如何に2012年に悪化したかという事を示している。

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二つの主な理由の為、少し以前から日本株式会社は、製造の海外移転によってこの穴を掘り始めたのだ:企業は、より緑色の鮮やかな草を、言うなれば低い人件費を求めた;そして益々企業は、より地理的に顧客に近くなる事を求めた - 米国の労働市場に素晴らしい結果を残して米国の企業がかなり昔に完成させたのと同じ戦略である。 その意味において、日本は出遅れていたのだ。

自動車産業は典型的な事例である:依然として急成長している中国市場向けのモデルを生産する為にトヨタが中国内に工場を建設した時、未だ中国のサプライヤーに仕事を奪われていなかった幸運な日本のサプライヤーは、(トヨタの現地進出の)後に続くようにとのプレッシャーを受けたのだ。 彼等の製品の一部、特に部品は、それから日本へ再輸入されたのである。 円をもてあそぶ事が労働コストの方程式を揺さぶる一方、それが、この惑星上で最大の自動車市場の真ん中に拠点を設けるという戦略的な願望を置き換える事は無いのだ。

中国は日本の最大の貿易相手国である。 日本の輸出の4分の1近くが中国へ向かい、輸入の4分の1近くは中国からやって来る。 両国は互いに争っており、互いの股間を蹴り上げており、そして彼等は島の問題、歴史的な虐殺、その他の大失敗に拘っている事で、互いを嫌っているのかもしれないのだが、彼等は貿易しているのだ。

中国との貿易は曖昧で入り組んでいる。 日本の中国への輸出の約3分の1は香港を経由して積み替えられるが、中国からの輸入はそうで無く、数値を歪めているのだ。 そこで、我々は中国と香港を一緒に考えなければならないのである。 合わせた輸出は¥1兆3986億と5.7%増加したが、合わせた輸入は¥1兆3413億と14.4%急増し、黒字はたったの¥573億 - それは2012年6月の黒字から62%の低下であり、2007年6月の黒字から82.3%低下したのであるから「たった」なのである。

二番目に大きい日本の貿易相手の - メキシコを「中南米」に属するとする一方で、米国及びカナダと財務省が定義している -「北米」は、日本にとって明るい地域の一つであった。 輸出は¥1兆2100億へと14.5%急増したのだが、輸入は僅かな取引額から16.9%も跳ね上がったのである。 そして貿易黒字は¥5290億へと11.5%上昇したのだ。 反対に、三番目に大きい日本の貿易相手:欧州への輸出は(2012年6月の弱々しい水準から)8.4%上昇し、輸入は16.1%跳ね上がったのだ。 貿易赤字は¥893億へと2倍以上になった。

普通に疑われる要因 - 原油及びLNGの輸入 - が日本の貿易の不振の原因と非難されてきたのであり、それらは上昇している:鉱物燃料のカテゴリは7.3%上昇したのだ。 しかし、他の犯人もいるのである。

食糧の輸入は6.2%上昇し、(首都圏の建設ブームに供給される木材、鉄、他を含む)原材料は8.7%であった。 化学製品は8%上昇し、医薬品の一部の品目は19.7%跳ね上がったのだ。 工業製品は19.6%上昇した。 機械は22.5%急増した。 発電装置は37.6%。 電気機器は19.6%跳ね上がり、その内の半導体製品は44.8%も激しく上昇した。 輸送機器は31.0%上昇し、家具は20.2%、衣料品は25.5%。

その一部は、昨年の6月から対ドルで22%下落した円によるものであり、その為に輸入の値を膨らませたのである。 その一部は資産効果と日本株式会社を誘発した企業の楽観主義であり、度を越した投機の為の新たに印刷されたマネーの流入を受けた富裕な個人であったのだ。 その一部は、日本の製造事業者が生産を海外へ移転する努力を加速した事による構造的なものであった。 それは、日本経済を代償にして - 中国、タイ、バングラデシュ、ヨーロッパ、他を支援したのである。 アベノミクスの不自由な先天的欠陥である。

より明るい面として、小さな島である端島(ハシマ)は嘗て炭鉱として使用され、5千人が暮らし精を出して働いていた場所である。 しかし1970年代に同島は放棄され、コンクリートの建造物は朽ちるままに取り残され、ジェームズ・ボンドの映画で再び脚光を浴びた事があるだけなのだ。 現在、グーグルはストリート・ビューの為に同島を撮影し、- この不気味な工業廃墟の恐ろしい短編ビデオを作成したのである。 これを読んで欲しい...グーグルのストリート・ビュー上の不気味な見捨てられた日本の島



上の文章の末尾に引用されている端島(別名=軍艦島)が廃墟となっているのは、円安のマイナス効果を増大せしめた「製造企業による生産の海外移転」などとは無関係なのですが、著者である Wolf Richter の知識不足、又はセンスの低さを示しているのかもしれません。


多くの人々に被害を与えた福島原発の事故の責任は明確にされねばならず、被害者への補償も急がねばなりません。 しかし、個々の被害者の苦境だけに焦点を当てて憐憫の情を誘おうとしたり、極めて発生確率の低い福島原発と同種の事故を前提にして国民の不安を煽ろうとするかの様な報道を繰り返す馬鹿メディアの皆さんは、輸入エネルギー・コストの増大による貿易収支の悪化(≒国家財政の悪化)に対する責任が大きいと思うのです。

福島原発の事故後間も無い頃に開設した本ブログでも、当時の政府の愚かしい対応や、本質的な問題を適切に報道できない馬鹿メディアの皆さんを詰(なじ)っていたのです。(「ツケは誰が払うの?」)

停止していた各地の原子力発電所の再稼働を申請するという電力会社の行為は、合法的なものであり、合理的なものなのです。 感情論だけで再稼働の認可を巡る行政側の対応を非難するよりも、結論を得ないままに放置されている「核廃棄物の最終処分」という類の本質的な問題に焦点を当てるべきだと思うのですよ。 大手メディアの方々が如何にお馬鹿であろうとも。


次回に続く...


追記:
大手馬鹿メディアの皆さんは、「脱原発」を主張して東京選挙区の参院議席を獲得した芸能人の行動を俄(にわ)かに報道し始めています。 勿論、原子力発電の是非を含めた我が国のエネルギー政策が重要な課題である事は、私も否定しません。 しかし、経済/外交/防衛/医療/福祉/教育/等々と、山積する多くの課題について、件の議員に与えられた1議席はどのような意味を持つのでしょうか?。 この様な現在の間接民主主義制度の矛盾について、大手馬鹿メディアの方々は何の疑問も抱いていない様です。

何時もながら詮無い事ではありますが、社会全体の思考の劣化について再確認すべく、以前に掲載した私個人の考察を再度整理しておくのです。



旗幟は朧(おぼろ)に」という稿から:

多岐に亘る全ての政策課題に対し、各政党内の「方針」を完全に統一する事は困難なのです。 例えば、「消費税の引き上げは絶対に反対!」という主張(だけ)で結成した政党内では、「TPP問題」「原発問題」「外交問題」等々に関する意見を統一できないのですよ。 程度の差はあれ、この様な何れの政党でも抱えている構造的矛盾については、以前にも考察してみました。(「Raise the Ante」)

例えば、各々 通りの方針を取り得る政策課題が 個存在する場合、全ての政策課題の方針の組み合わせは 通り存在するのです。 問題を単純化する為に、各々の政策課題において取り得る方針を二つだけ(やる/やらない、又は Yes/No)であると仮定すると、 個の政策課題の方針の組み合わせは 通り存在する事になります。

ブール代数に慣れた人ならば容易に理解できるでしょうが、政策課題が9個存在する場合、 = 512 通りの組み合わせが存在する事となるので、厳密に全ての組み合わせに従って政党を区分すると、政党の数だけでも議員定数を上回ってしまうのですよ。 既に、この辺りにも現代の「政党制」政治システムの限界があると思うのです。

一方、以前にも指摘した「有権者の側の一票の格差」(同じ一票を持つ有権者側の見識の格差)については、現行の「民主主義」制度の元で抜本的に改革する事は理論的に不可能なのです。 「はい、貴方達はお馬鹿だから 0.5 票しかあげません。 こちらの方々は超お馬鹿だから、各自に 0.2 票しかあげません。」という具合に、商店街の福引の補助券の様な制度であっても良いのかもしれませんが、この様な変革を圧倒的多数の(現状では各自が等しく1票の権利を持つ)お馬鹿な有権者が許す筈はありませんからね。



Raise the Ante」という稿から:

米国の場合には、以下の様に2大政党の対立軸が非常に単純化されているのです。

・民主党=「大きな政府による市民への手厚い保護(巨額の予算/税金による高福祉)」
・共和党=「小さな政府による各個人の自主独立性の尊重(少ない予算/税金による市場原理主義の促進)」

2000年以降に登場したブッシュ政権(共和党)は露骨に金融や軍産複合体の利益と結託し、最低限の箍(たが)さえも緩めて「(金融)資本主義/(テロ対策を名目とする)軍事政策」を過度に推進した事で現在の経済危機/地政学的緊張の下地を(作為的に?)創り上げてしまったのですね。 しかも、富裕層に対する大幅な減税を行った事により富の再分配メカニズムも甚だしく破壊してしまったのです。 その後台頭したオバマ政権(民主党)は、崩壊の淵にあった経済を立て直すとの名目で、政府の債務を急速に膨らませてしまいました。 何れの政治も背後にいる方々に操られているのだとすれば、極小数の人々が天文学的な利益を掠め取った穴埋めとして、(将来的に国民を隷属させる事となる)政府/国家の負担を膨らませてしまったのですね。 政治理念が単純化されているが故に、一方の極から他方の極へと劇的な反動を生じせしめたのでしょう。

然るに、我が国においては米国の様な絶対的対立軸というものが存在せず、現在の政治システムでは様々な政治課題を抜本的に解決する議論が進まない様に思うのです。 各種の政策課題について、各政党内にも異なった意見が混在する一方、異なる政党に属しながらも同じ意見を持つセンセー方が存在するのです。 このような状況においては、選挙区制度の如何に拘らず、全ての政策課題に関して有権者の期待を完全に体現する候補者/政党を選択する事が困難なのです。

端的な例は消費税の引き上げやTPP参加の問題であり、民主党及び自民党の中には賛成派/反対派のセンセー方がそれぞれ混在しているのです。 

更には、政治的課題が多岐に亘る一方、特定の課題に関する知見しか持っていない議員というのも少なく無いのです。 「待機児童の問題」のみに注力して当選したオバサン議員の殆どが外交/防衛政策について素人以上の見識を持っていないというのも、政治家の知識/見識の欠落を示す一例なのでしょう。

例えば下図の様に、税制/外交/福祉という様な各種の政治課題に対し、個々の候補者が異なる方針A,B,Cを持つ、又は無定見(-)であるという場合、個々の有権者の期待に完全に一致する考えを持つ候補者/政党が存在する確率は非常に低いのです。


各政党内議員(候補者)の主張




政党1政党2政党3
有権者側の期待


XさんYさんZさん
国政制度
自治制度A
税制
財政C
金融
産業
福祉
医療
教育
外交
防衛
環境
 :













1票の格差

この様な構造の中で安定的な政治状況を保つ事のできない政権/センセー方は、安定的な身分保障の元で永続的に統治機構を掌握する官僚の皆さんを統御する事などできないのですね。

上記は、現在の日本の政党政治システムが抱える構造的な問題であると思うのです。 しかし、更に深刻なのは、有権者たる市民の側の意識(または知能レベル)だと思うのですよ。 特定の政治課題以外には何の定見も持たないセンセー方を非難する以前に、様々な課題に対して何の関心/知識も持たぬ人々が多いという事は、現代の「民主主義」の構造的な問題若しくは欠陥だと思うのです。 つまり、同じ一票という権利を与えられている有権者の側にも、大きな格差があるのですよ。 これは、国政選挙が行われる度に最高裁が「違憲状態」と判定する一票の格差とは異なる種類の一票の格差だと思うのです。

この一票の格差という問題の主たる要因は、民主主義(democracy)に対比して衆愚政治(mobocracy)とも形容される参政権の構造なのでしょうけど 【これを、populism と混同する人々も少なくない様ですが】、別の機会に改めて整理してみるつもりなのです。




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