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揺らぐ基軸

(追記29日08:50)
FRB の緩和策縮小に対する思惑から、インド、インドネシア、ブラジル等の新興国の通貨が急落し続けていますが、世界の為替市場は更に不安定なものとなりつつあるようです。

ロイター より
ドル全面高、シリア攻撃を懸念した逃避買いで=NY市場
 [ニューヨーク 28日 ロイター] - 28日終盤のニューヨーク外為市場では、西側諸国がシリア攻撃に踏み切る可能性を見据え、安全通貨としてドルが買われ、幅広い通貨に対して急伸した。一部の新興国通貨は過去最安値を付けた。イント)の約2倍。

前回の稿(「好景気のブックエンド」)では第2次世界大戦を挟む長期的な金利の変動傾向を整理しましたが、同大戦後に米ドルへ基軸通貨の地位を与えしめた現在のブレトン・ウッズ体制は限界に近づきつつあるのかもしれません。



Central bankers have given up on fixing global finance
中央銀行家達はグローバル金融の修正を諦めた



我々は新しい種類の金融システムへの欲求を回復する必要があると、ロビン・ハーディングは述べている。


FT_20130828.jpg

世界は際限の無いバブル、金融危機そして通貨の崩壊という暗い運命を待っている。 それに慣れよう。 少なくとも、それは - ワイオミング州ジャクソン・ホールでのカンザスシティ連銀の年次総会の為に自らのぐらつく権威の下で集まった - 世界中の中央銀行家達が期待しているものである様だ。

国際金融システムに関する彼等の全ての議論は、運命論者の現状維持の受諾によって記録された。 非伝統的な金融政策の成功及び最近の大きな金融規制の格上げにも拘わらず、我々は依然としてグローバル経済における不均衡に対処する術(すべ)を持っておらず、それは将来の新たな危機を意味するのである。

実際、問題は悪化しているのだ。 ブレトン・ウッズの古い固定相場制度の1971年における崩壊以来、世界は国際金融の「トリレンマ」に慣れるようになったのである:自由な資本の流れ、固定された為替レートそして独立した金融政策を同時に持つ事の不可能性。 殆どの国々は自国の金融政策及び変動相場の管理を強力に支持したのだ。

しかし、- 米国の連銀の金融政策で駆動された - 信用と資本フローは変動相場制でさえ自国の運命の制御を国家に与えない事を意味すると、ジャクソン・ホールで発表された素晴らしい新たな論文の中でロンドン・ビジネス・スクールのエレーヌ・レイ教授が主張したのである。 真実として、トリレンマはジレンマなのである。 選択肢はこれだ:資本規制を課す、又は FRB に貴方の国の経済を運営させる。

自らの毎月$850億の資産購入を先細らせる事を FRB が熟慮している事により、- 為替レートを引き下げつつ - 特に新興世界から資本が逃避している時において、ジャクソン・ホールにおけるこの暗い予測の分析が肩を窄(すぼ)めながら受け入れられた事は印象的であった。 最低でも、それは、より高いインフレと、より高い金利を伴って発展途上国を脅かすのである;インドやインドネシアの様に資本流入を少し楽しみ過ぎた国々は、何かしらもっと酷く苦しめられるかもしれない。

しかし全ての議論は、如何に個々の国々が出入りする資本の流れの影響を減衰する事ができるかというものであった。 他の国々の事を念頭に置いて FRB が政策を定める(それは違法となる)事を期待するのは絶望的であるというのが、レイ教授自身の結論であった。 彼女は、目標を定めた資本規制、厳しい銀行規制、そして与信ブームを冷ます為の国内政策を推奨したのだ。

実際には、これが上手く機能する事は決して無いであろう。 それは、常に変化する資本フローに対する訓練で反応する事を世界中の全ての国に求めるのである。 それは、世界中の誰もが自分達の手を一時間毎に洗い、決して家から出ない場合にのみ、我々は通常の風邪を治す事ができると言う様なものである。 もしそれが機能したとしても、この様に行動している国々に対し、必要となる政策のボラティリティは依然として苦しい経済コストを課す事になるのだ。

しかし、それが唯一の選択肢ではない。 5年前、リーマン・ブラザースが崩壊した後、新しい種類の国際金融システムに対する欲求及び勢いが存在したのである。 その欲求は消え去ってしまったのだが、- 我々は必死にそれを取り戻す必要があるのだ。

国際金融システムにおける欠陥は、古く深遠であり、それらを取り巻く如何なる努力も打ち倒すのである。 それらの内で最も重要なのは、経常収支黒字を抱える如何なる国にもその削減を強制するメカニズムが欠けている事である。 従って、- 米国へ巨大な資本の洪水を送り込み、金融危機の創出を手助けした中国の黒字の様な - 巨大な不均衡が発達し、しつこく繰り返されてしまうのだ。

実際、投資家達が貴方の国から資本を引き揚げようと決定した場合、頼るべき国際的な中央銀行は無いのであるから、黒字を抱える事は賢明なのである。 国際通貨基金というものはあるが、- 1997年にアジア諸国がそれを試み、その体験から、同じ事の繰り返しを避けるべく、それ以来彼等は非常に喜んで外国通貨準備金を積み上げてきたのだ。

準備資産として国際的なシステムが一国の通貨 - 米国のドル - へ頼っている時に、信頼性のある後ろ盾というものは不可能である。 FRB だけがドルを作る事ができるのだ。 現在の新興市場における問題が多過ぎるドルであったとしてさえ、- 米国に比べて世界経済が成長する為に不足という現象のみが悪化するばかりであり、- 危機の中でそれらが十分であった事は一度も無いのだ。

答えは、1930年代にジョン・メイナード・ケインズが提案したものだ:国際的準備資産、それに対する国家の通貨の価格を決める為のルール、そして恒常的な黒字を抱える国に対する罰則である。 金融危機の後、国連から、経済学者のジョセフ・スティグリッツから、そして中国人民銀行の総裁からさえ、これらの線に沿った提案の洪水があった。 その何れも実現に向かわなかったのである。
 
その目標に向かう基本的な第一歩 - IMF のリソースを強化し、必要が生じた時に新興市場が頼れる様に彼等へ投票権を手渡す事 - は、米国議会の中で止まってしまった。

しかし改革の可能性は、過去数十年間におけるそれよりも大きいのだ。 一時的でしかないが - 危機及び不況は全世界的な不均衡を減少させた。 そして、例えば中国は、もはや同国の黒字を減らす為の大きな調整を即座に行う必要がなくなってしまったのだ。 金融危機は又、世界の基軸通貨を供給する事の不利についての生々しい教訓を与えたのである。 新興市場は、米国の金融政策を輸入する事の危険を思い起こしつつあるのだ。

突然の革命よりも斬新的な変化の方がより望ましいが、- 進展を生み出す時は今なのだ。 金本位制の終焉以来、世界にとって安定した国際金融システムを中々得られなかった。 しかし、それを創り出す第一の条件は試みる野心である。



上の記事中には「他の国々の事を念頭に置いて FRB が政策を定める(それは違法となる)事を期待するのは絶望的である」というレイ教授の主張が示されていますが、一方では新興国側の混乱も無視できない状況となりつつあるのです。

Emerging market rout is too big for the Fed to ignore
(新興市場の総崩れは、FRB にとって無視するには大き過ぎる)


次回に続く...

追記:
上に引用した FT の記事の和訳文が、(今回は早々に)JBpress に掲載されていました。

国際金融システムの修復を断念した中央銀行

いつもの様に、職業的翻訳家の秀逸な文章と、(あくまで原文の構成/用語を正確に訳す事に拘る)私の無機的な翻訳との違いを確認できるのです。

(FTの元記事を読むには、同サイトにアカウントを登録する必要があります。)



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