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グローバル化の不整合

ここ数日本稿で整理した記事は、何れも経済/金融のグローバル化が生み出した構造的な問題を現行制度の下で解決する事が難しいという状況を説明してくれているようです。

前回の稿の末尾にリンクした Telegraph の記事も気になったので、とりあえず整理しておきましょう。



Emerging market rout is too big for the Fed to ignore
新興市場の総崩れは、FRB にとって無視するには大き過ぎる


米国の連銀は、アジア、ラテン・アメリカ、アフリカそして東欧へ、死に陥れと語った。

Telegraph_20130813_01.jpg
Children play with a giant globe in Rio de Janeiro, Brazil

これは、容易ならぬ政策の誤りの要因を孕(はら)んでいる:最善の場合でも、1998年秋の劇的な出来事の繰り返しとなり;最悪の場合には、全面的な大失策となって長期の低迷の第2段階へと滑り落ちる事になる。

今や新興市場は世界経済を引きずり倒すのに十分な程大きいのである。 インドネシア、インド、ウクライナ、ブラジル、トルコ、ベネズエラ、南アフリカ、ロシア、タイそしてカザフスタンは、彼等の通貨を支えようと試みており、その影響は更に高い借り入れコストとして先進国世界へ跳ね返っているのだ。 中国でさえ、$200億の米国債を売却せざるを得ないと感じたのである。

「彼等は、米国及び欧州の債券を売却する事で外貨準備を取り崩しており、自己増強的なフィードバック・ループへと繋がっているのです」と、BNY メロンのサイモン・デリックは語った。

新興市場は$9兆の外貨準備を保有しているので、彼等は嘗てよりも弾力的であると我々は聞かされている。 しかし、為替レートを守る為にその宝を使用する事は全て、金融引き締めを引き起こす事となり、従って既にトラブルに見舞われている国々に対して収縮的なショックを与えるのだ。

我々は又、最近の彼等は自国通貨で借り入れており、1980年初頭や1990年代半ばの大混乱を引き起こしたドル不足の類に対して免疫だとも聞かされている。 これは真実であるが、両刃なのである。 インド、ブラジルその他の国々は確実に市場との闘いを止めるよう誘惑され、通貨が下落し、云わば貴方達の年金基金という様な - 外国人に痛みを与えるままに任せるのだ。

BNP パリバのミルザ・バイグは、擬似的なペッグを守る事に効果は無いと呼び掛けながら、通貨の切り下げを受け入れるよう彼等に助言している。 「闘う為のコストはスパイラル状に制御を失っているのです」と、彼は語った。

外国人達は、マレーシアで90%、タイで81%、韓国で79%そしてインドで74%の通貨リスクを負っていると、バイグ氏は語った。 そして、彼等はヘアーカットを受けるのだ。 これらの国々がその道筋を取る事で、彼等は西欧にデフレ的な貿易の衝撃を与えるであろう。 ユーロ圏は、それを扱うのに不適当な状況にあるのだ。 英国も然り。

我々は完全に未知の海域にいるのだ。 ボルカ―議長の FRB による引き締めがラテン・アメリカを崩壊させた1980年代初期、新興市場は全世界の GDP の15%未満であったのだ。 それは西欧の銀行にとって不愉快なエピソードであったが、容易に封じ込められたのである。 中国はその当時自給自足状態であり、世界から閉ざされていた。 ソビエト連邦とその衛星諸国は、閉鎖されたシステムを形成したのだ。

その構図は、元共産主義者達がパーティーに参加した1990年代半ばまでに既に非常に違ったものとなった。 その時までに、新興市場は全世界の GDP の3分の1へと成長しており、1998年8月のロシアのデフォルトの後に FRB 議長のアラン・グリーンスパンが発見した様に、船を揺らすには十分な大きさだったのである。

グリーンスパン氏は、その月のジャクソン・ホールでのコンクラーベにおいて、対応の必要性について地区連銀総裁達に十分議論させる程、十分に懸念する様になったのだ。 FRB は9月に金利を引き下げたが、それは東アジア全域で通貨が崩壊し、欧州におけるEMU以前の「収束遊び」が粗っぽく反転した事で制御不能となった危機を止めるには十分でなかった。

ニューヨーク連銀は1998年10月に介入する事を余儀無くされ、ヘッジ・ファンドのロング・ターム・キャピタル・マネジメントを救済したのである。 FRB は10月及び11月に再び金利を引き下げた。 「システミックな崩壊の可能性が十分に大きかったのであり、何もしない事について我々に快しとさせなかったのです。」

その当時でも関係する金額が高かったのであれば、現在それらは更に高くなっているのである。 IMF のデータによると、新興市場は世界経済の半分なのである。 もはや「力関係」は1:2で無く、それは1:1なのである。 経済革命が起こっていたのだと主張し、ブームの最中にBRICS 及びミニ-BRICS を恋した者達は全く正しかったのである。

しかし、我々皆が今回のジャクソン・ホールから聞いたのは、新興市場の潰走が FRB の問題では無いという否定的なコメントだったのである。 「他の国々は、それを単純に現実として捉え、私達に合せる必要があるのです」と、アトランタ連銀総裁のデニス・ロックハートは語った。 「金融的な波及事象から国々を隔離する絶妙な処置というものは無いのです」と、ニューヨーク連銀のテレンス・チェッキは語った。

FRB 高官達の話は、危険な程に無頓着であると私には響いた。 グローバルな相互作用に完全に注意する事に失敗した「閉鎖的マクロ経済モデル」の結果として、同行は過去6年間に一連の間違いを犯したのである。 同行は、リーマン崩壊以前にブレーキを故障させる事が如何にドルの緊急出動の引き金となり、大災害に着火していたのかという事を予測するのに失敗したのである。 同行は、後にタカ派的な発言で欧州通貨同盟の債務危機の痙攣を引き起こしたという事において重要な役割を演じたのであり、毎回のように後で前言の撤回を余儀無くされたのである。

「大きなリスクは、FRB の先細り措置が米ドルへの殺到の口火を切るというものです。 それは、FRB が自己満足である事を止める時です」と、ダンスケ・バンクのラース・クリステンセンは語った。 「世界中の中央銀行は、全てのこの刺激策に併せて彼等が実行すべきでない何かを実行してきたのだと考えており、彼等はそれを可能な限り迅速に巻き戻したいと願っているのです。 しかし危険なのは、彼等がやり過ぎて1937年の様な再発の引き金を引く事なのです。」

FRB 自身の手は殆どきれいでないのであるから、彼等は新興市場に対する注意義務を持っているのだ。 ゼロ金利及び量的緩和は、これらの国々へ洪水として流れ込んだドルの流動性の原因だったのである。 それは、2008年以降に新興市場への正味の資本流入が$4兆から$8兆へと倍増した理由であり、その多くは後のサイクルの奔出において無駄にされたのだ。

そう、中国、ブラジル、インドその他は、流動性の浴槽を下手に取り扱ったのだ。 彼等は、もっと価値のある成長を生み出す事無く、与信に飛びついたのである。 中国の例では、融資の伸びに対する経済的なリターンが0.85という割合から0.17へ崩壊したのである。 減少しているリターンは殆ど何も無い状態へと縮小したのだ。

BRICS クラブが労働者の競争力を失った為、信用ブームは内在する腐食を偽装したのである。 それぞれの事例は異なるものの、ブラジル程、現実から非常に離れてしまった神話は無い。 同国は、ビジネスの容易さに関する世界銀行のランキングで惨めにも130番目という状態であり、工業生産は依然としてリーマン前を3%下回る水準であり、鉄鉱石及びコモディティの輸出に依存する方法を失ってしまったのである。

新興国における「現実はパンフレットよりも良く無い」と旅行者達は発見したのであり、今や彼等は自国の方へ釘付けになっているのだと、シティグループのマット・キングが簡潔な書簡の中で述べている。 「一斉に自宅へ返らないでくれ。 出口は小さいのだ」と、彼は警告した。

これらの国々の失敗について米国を非難する事はできず、更には、ベン・バーナンキ及び彼の後継者は依然としてその結果と共に暮らしていかねばならないのである。 グローバル化が FRB を陥れたのだ。 好きであれ嫌いであれ、FRB は世界の金融のスーパー・パワーなのである。

これまで我々が目にしてきた新興市場からのマネーの脱出は、この出来事が誤って処置された場合に起きるかもしれないものと比べようが無い。 西側諸国によるシリアへのミサイル攻撃に向かう急速なエスカレーションは、バレル当たり$150へのクルード・オイル価格の急騰がそれ自体の連鎖反応を引き起こすという話と共に、事態を先へと進めているのだ。

全世界の流動性を引き上げる事になるだろうと FRB が主張している中で、世界の他の国々は「我々に合せる」必要があると彼等が本当に考えているのであれば、尚も再び、それは非常に失礼な驚きとなるかもしれない。



多くの新興国で現在起きている通貨の暴落/資本の逃避という事態に対し、余りにも無頓着な FRB の姿勢に憤る E-Pritchrd の気持ちも理解できますが、前回の稿(「揺らぐ基軸」)で掲載した文中にも示されている様に、「他の国々の事を念頭に置いて FRB が政策を定める(それは違法となる)事を期待するのは絶望的である」というエレーヌ・レイ教授の醒めた見解こそが、グローバル化した経済/金融の実態と整合していない現行制度の限界だと思うのです。

この様に先進国/新興国の間の利害が複雑に構成されている問題については、G20 の様な会議の場で議論しようとも解決できないと思うのですよ。


次回に続く...



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