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金融のレゾンデートル

(追記25日08:15)
「XX倍返し」という言葉を流行らせたTVドラマが多くの視聴者を惹き付けていたようです。

産経ニュース より
「半沢直樹」最終回、関東でミタ超えの42.2% 関西は45.5%

 TBS系で22日夜放送されたドラマ「半沢直樹」の平均世帯視聴率が、関東地区で42.2%、関西地区で45.5%だったことが24日、ビデオリサーチの調べで分かった。

 関西地区ではNHKの連続テレビ小説と大河ドラマを除く昭和55年以降のドラマで過去最高。関東地区でも歴代4位で、今世紀に入ってからは、平成23年秋に放送された日本テレビ系「家政婦のミタ」の最終回40.0%を抜いてトップとなった。

件のドラマについて批判するエコノミスト達も少なく無いようです(「半沢直樹」の不在)が、私はこの種のTVドラマを視聴しないので、内容について論ずる事もできません。

その一方、現実の金融の世界では「XX倍儲け」という具合に暴利を貪る人々が存在するのですが、その社会的な存在価値について考察する方々もいるのです。



The Best, Brightest, and Least Productive?
最善で、最も輝かしく、そして最低の生産性?


ニュー・ヘブン - 最も才能に恵まれた人々は金融業界での - 更に具体的には、トレーディング、投機、そして「非生産的な」と伝えられる活動でのキャリアを選択しているのだろうか?。

ProjectSyndicate_20130920.jpg

米国では、2012年における従業員達への全ての報酬の7.4%が金融及び保険業界で働く人々へ支払われた。 その割合が高過ぎるか否かに拘わらず、経済的及び社会的に役立たずかもしれない活動を行っている最も高い教育を受けて熟練した人々の間で、その比率が尚更高いという事が現実的な問題である。

金融危機の直前には、ハーバード大学の卒業生の25%、エールでは24%、そしてプリンストンでは驚きの46%が彼等のキャリアを金融サービス業にて始めていたという事を、エリート大学での調査の中でキャサリン・ランペルが発見した。 それ以降、これらのパーセンテージはやや低下したものの、これは危機による一時的な影響でしかないかもしれない。

トーマス・フィリッポン及びアリエル・レシェフの調査によると、伝統的な金融を犠牲にして、金融活動の増加の多くが更に投機的な分野で行なわれたのである。 1950年から2006年まで、信用の仲介(伝統的な銀行業を含む貸し出し)は「他の金融」(証券、商品、ベンチャー・キャピタル、プライベート・エクィティ、ヘッジ・ファンド、そして投資銀行の様な他の投資活動を含む)に比べて低下したのだ。 更に、「他の金融」における賃金は、これらの信用の仲介業におけるそれに比べて急上昇したのである。

確かに我々は、トレーディングや投機に幾らかの人々を必要としている。 しかし、それらの人々が多過ぎるか否かという事を、どうやって我々は判るのだろう?。

一部の人々にとって、問題は道徳的なものなのである。 他人との取引というのは、もしもそれが間接的に社会的利益となる事であったとしてさえ、本質的には利己的な追求であると見做されるのである。 しかし、エコノミスト達が好んで指摘するように、トレーダー達及び投機家達は便利なサービスを提供するのだ。 彼等はビジネスに関する情報を整理して、(少なくとも一部の時間は)その本当の価値を判断しようと試みているのだ。 従って彼等は、社会のリソースを最善の用途へ配分する事を手助けしているのであり、- つまり、それは最も有望なビジネスなのである。

しかし、これらの人々の活動は、その他の我々にコストを課してもいるのだ。 実際、大規模な量の投機及び取り引きは純粋な利潤追求であるとパトリック・ボルトン、ターノ・サントス、そしてホセ・シャインクマン達の論文が主張している。 言い換えるならば、普通ならば無料であるものから利潤を集める事を可能にする以上の事を成していないのは無駄な活動なのである。

利潤追求の古典的な例は、自らの領地を流れる川を横切るように鎖を渡し、通貨する船から鎖を降ろす為の料金(又は、川の一区間の数分間の使用料)を徴収する者を雇った封建領主である。 その鎖又は徴収人は何の生産性も無いのだ。 領主は川について何も改善せず、彼自身(への報酬)を除き、直接的にも間接的にも、その様な方法で誰をも支援していないのである。 彼が行っているのは、嘗ては無料だった何かからマネーを作る方法を見つける事だけである。 もしも川沿いの多くの領主達が追随したならば、その利用は酷く縮小するかもしれない。

これらの「その他の金融」は、似た様な振る舞いを伴う事が少なく無いのである。 彼等はビジネス上の取り引きの上澄みをすくい取り、彼等の仲間で無い者達に対して「負の外部性」を創り出すのだ。 彼等が拒否する不良資産 - 例えば、2008年の金融危機に燃料を注いだサブプライム住宅ローン証券 - が何れにしても創り出され、知識の少ない投資家達に押し付けられるのであれば、もはや融資する者達は川に鎖を渡す領主以上に社会へ寄与しないのである。

これから発表される論文の中でパトリック・ボルトンはこの見方を拡大し、銀行員達及び「投資銀行」として分類される広範囲な活動を商業銀行に禁じるグラス・スティーガル法に目を向けている。 1999年のグラム・リーチ・ブライリー法がグラス・スティーガルを置き換えて以来、銀行員達は増々封建領主の様に行動したのである。 2010年のドッド・フランク法は、商業銀行による自己勘定取り引きへ制限を設けるボルカ―・ルールを課すことでグラス・スティーガルの禁止条項とある意味で似ているものの、更に多くを為す事が可能な措置を導入したのだ。

多くのオブザーバー達にとって、グラス・スティーガルは意味を成さなかった。 少なくとも銀行の活動が全体的な金融のインフラを危うくしない事を確実にする為の規制を我々が持っていたにも拘わらず、何故、銀行は彼等が望む如何なる事業にも携わる事が許されるべきでなかったのか?。

実際、オリジナルのグラス・スティーガル法の主な利点は、テクニカルというよりも社会学的なものであったかもしれず、ビジネスの文化及び環境を微妙な方法で変える事であった。 取り引きを生む事業を分離し続ける事で、銀行は彼等の伝統的な中核事業により集中する事となったかもしれないのである。

経済的な研究では、現在流行りの類の「その他の金融」における彼等の最善且つ最も輝かしいキャリア形成が社会に与える価値を未だに我々も測れないが、ボルトンと彼の同僚達は様々な面において正しいように思われる。 投機的な活動は多くのプラスも多くのマイナスも持っており、その多くは良いもので一部は悪いものであり、これらは定量化する事が非常に難しいのである。 我々は、そのような活動に影響を与える規制についてはとても慎重になる必要があるものの、一旦明らかとなったならば我々は規制を設ける事に恥じらうべきでないのだ。



上の記事を執筆したのは、米国の住宅価格を統計的に指数化した事で有名なエール大学のシラー教授なのですが、現代の過度な金融資本主義の本質的な歪みに焦点を当てた面白い考察だと思います。

現代の金融事業が社会的に無益な存在であるばかりか、その過剰な利潤追求姿勢が社会的にネガティブな影響を及ぼしている状況について本稿でも度々指摘していますが、確かにその存在意義を定量的に測る事は難しいと思うのです。

「マネー・ゲーム」という言葉が様々なメディアで用いられ始めた1980年代頃から金融資本主義による社会的な歪みが増大してきた様に感じるのですが、これらの金融関係者達のロビー活動によって法的な規制が骨抜きにされてしまったのは、その様な政治を許容してきた現代の(愚民に主権を与えている)民主主義制度の根本的な矛盾だと思うのです。 このように重要な社会的問題に焦点を当てられぬ大手馬鹿メディアの姿勢/知性も本質的な課題の一つではあると思うのですが、圧倒的多数の愚かな一般視聴者を相手にする事業を運営するという状況においては、大手馬鹿メディアの方々の愚かしさにも相応の理由を認められるのです。

「半沢直樹」を楽しんでいた方々の殆どは、上の記事で指摘されている様な問題に対して何の興味も持っていないでしょうから、大手馬鹿メディアも低俗な娯楽ドラマを作成した方が高い視聴率を得られるのです。

大手馬鹿メディアも、彼等が発信する愚かしい情報を楽しみにする愚かしい大衆が存在する限り、社会的には有意な存在と云えるのかもしれません。


次回に続く...


追記:
米国の7月の主要20都市圏の住宅価格指数がエコノミストの予想値を下回り、これまで継続していた反発(dead cat bounce?)が減速し始めているのではないかと懸念されています。 上の記事を執筆したシラー教授が CNBC のインタビューを受け、いつもの様に不明瞭な口調で現在の米国の住宅市場の動向についてコメントしています。

曰く:「住宅市場が減速し始めているかもしれない事について私は心配していません。 それよりも、一部の都市における住宅市場の活況がバブルの様相を呈している事について心配しているのです。」






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